お勧めの現代インド本
先日 久しぶりに Hさんとお会いした。 お話のなかで 「 現代インド をとりあげた、信頼に足る、新書ぐらいの手軽さの 書き物」 つまり 「 お勧めの現代インド本 」 はないか、とたずねられた。 大変ありがたい問い合わせだった が、、、 僕の答えは 「なかなか ないんですよねぇ」 だった。
先日(25日) 東大に行く用事があった。 30分ほど時間があったので、いつもと違うルートで 根津駅まで歩いていくことにした。 古本屋があるのに気づき、入ってみた。 昔ながらの品揃えのくせに、どこか今風のところを感じさせる店だった。 なかなかお目にかかれない一冊を みつけた。
- 吉村文成 『 インド同時代 』
1985年にめこん社から出ている本である (→ こちら )。 なかなか手に入らない本だと思っていたら、まだ絶版じゃなかったんですねぇ。。。 喜ばしいことです。
この本を最初に手にしたのは、勤務していた在印日本国大使館でのことだった。図書館にあったこの本を何気なく手にし、かなり強く感銘をうけたのを覚えている。
今回 読みなおしてみたが、 現代インドの社会や政治や文化やら を、 なんというか 現地の人々の視線に立った外国人として ちゃんと知る ためには カッコウの本だと 確信しなおした。 専門的な研究書ではない。 エッセイというか 紀行文というか、なんだか独特のジャンルなのだけれど、まぁ そんなことはどうでもよくて、とにかく とてもよい。
表紙の煽り文句からして イカシテいる。
インドでこじきの目に感動してはならない。そこで感動してしまっては、何もかもぶち壊しだ。いわば、”異文化”に近づく戸口で回れ右をするようなものだ。
「神秘にして悠久の」精神世界をインドに見つける人たちを、わたしは疑っている。
これは 本書169~80頁あたりに書いてあることだ。 現代インドの研究者であれば、大方の人が 同じ思いを胸にいだいている。
本の作りも なかなかどうして 味わい深い。 わざとなんだろうけど、わら半紙の分厚いやつみたいな紙で、 粗雑な感じでつくってある。 この頃のめこん社の本を 僕はとても愛している。
とにかくお勧めの本だ。 この方面に興味のある方は、ぜひ一度読んでいただきたい と思います。 ただし、これは85年の本です。 今から20年前のインドということは 頭に入れておいていただきたい。 変わったところ、変わっていないところ、、、 当然のことながら そうした事柄が 読者である僕の頭には いくつもいくつも 去来します。
Hさん> なんでしたら、いつでもお貸しします。お申しつけください。
ちなみに、、、
もう一冊 一般書として心に残っている本を紹介しておきたい。
- 藤原新也 『 印度放浪 』 (→ こちら )
いわずと知れた、超メジャーな本である。 吉村さんの本より さらに古いもので、 消費されつくした感もあるが、 この手 の本 としては 僕は いまだに一番好きです。 写真の付いていない版も出されていますが、 ここはやはり 写真付きの方を お手にとっていただきたい。
もちろん これは、その手 の本であって、吉村さんの本とは かなり違う方向から インドにアプローチしている。 しかし、 やっぱり 面白い、 と僕は思うんだなぁ。。。
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コメント
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ラピスの生徒ですよ
誰でしょう
セイセイセイ
わかるでしょ?小力クン!
きれてませんか??
へじり
投稿: 松下清香 | 2005年10月29日 (土) 14時11分
あら、松下さん。
よく このブログ、みつけたねぇ。
「別に きれてないっすよ」
投稿: コンドウ | 2005年10月30日 (日) 14時59分
松下「清香」さん>
清香さんと 一緒にやっているのでしょうか? 二人で?
投稿: コンドウ | 2005年10月30日 (日) 15時47分