popular religiosity
前々便 で、カサノヴァの近代主義的な議論からは どうしても「民俗」のレベルがぬけおちることになる 、と書いた。
ずっと精読している この 『近代世界の世俗宗教』 で、「民俗」 と関連が深そうな概念として目立つのは、 popular religiosity である。 第5章「ブラジル」のところに頻出する概念で、津城さんは 「 民間の宗教性 」と訳出している。
しかしカサノヴァは、最後までけっきょく 「民間の宗教性」 そのものを主題化することはない。 彼の議論で、それは ただひとつの資源 ――すなわち 「国家」 「政治社会」 「市民社会」 などのレベルが担う 正当なる 「公共の討議」 に与えられた ひとつの資源―― であるかのようだ。
「アフロ・ブラジリアン宗教」 という範疇も登場するのだが、 それも主題化されることはない。
こうした点は、前々便 でも書いたように、たしかに不満が残るのだ。
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