« 市民社会と民俗 | トップページ | popular religiosity »

2005年12月 1日 (木)

明確な近代主義の立場

前便 で、カサノヴァの 『近代世界の公共宗教』 が 「 明確な近代主義の立場 をとっている」 と書いた。

カサノヴァ自身の言葉でいえば、その近代主義とは 「 リベラリズム 」 ではない。 「リベラルの壁」 という表現が この本では繰り返しもちいられているが、それは 宗教と公的領域を絶対的に隔てようとする壁のことだ。 その「壁」が 経験的にも、思想的にも 無根拠であることを示すのが、カサノヴァの議論の要点である。 したがって、 カサノヴァは 「リベラル」 ではない

しかしカサノヴァは、ハーバマス的な近代合理主義者ではある。 そのことは たとえば、アメリカのカトリックについて論じる章の結論部に出てくる 次のような概念によくあらわされている。

  • 公的討論 (邦訳 261頁)
  • 合理的な公的討論、論争上の倫理 (同)
  • 開かれた合理的な討論 (同 264頁)

これらはいずれも、同定された実体概念であると同時に、 規範的に措定された価値概念 でもある。 これらのものは、カサノヴァにとって、多元化という「近代化」の本質を形づくるプロセスにおいて確保された公共性確定の場として 正当化されうる 事実上唯一の選択肢 なのである。

« 市民社会と民俗 | トップページ | popular religiosity »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

01A 宗教学」カテゴリの記事

01B 宗教政治学」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 明確な近代主義の立場:

« 市民社会と民俗 | トップページ | popular religiosity »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

Twitter


読書メーター

  • mittskoの今読んでる本
  • mittskoの最近読んだ本

鑑賞メーター

  • 最近観たビデオ
    mittskoの最近観たビデオ
2021年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

イーココロ

無料ブログはココログ