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2006年1月 7日 (土)

憲政と民俗

2006・読み初めの本として 津城寛文 『 日本の深層文化序説 ―三つの深層と宗教 』 ( 玉川大学出版部,1995年 ) を選んだ。 ずいぶん前に買い求めていたのに、斜め読みしかしていなかったのだ。 例によって例のごとき現状にあっては、いずれにせよ 電車のなか、風呂のなかしか読書の時間はとれないのだが、 できるだけ頑張っていこうと思う。

この本のテーマは 「 民俗 」 。 「 日本の深層 」 に関する諸学説を整理していくなかで、民俗という問題がしめる位置を見定めようとする本だ。 

民俗 は 僕にとって宿題みたいなものである。 津城さんは 本書のなかでこう書いている。

支配のイデオロギーは 「 民衆の生活世界 」 や 「 民俗世界 」 のリアリティに根ざすことなしには受容されない ( 333頁、注12 )

本書は 「 民俗主義 」 という独自の概念で 島薗進教授 をとても高く評価しているが、 僕はそのゼミの出身者である。 島薗ゼミでは、「 普通の人々のささやかだが尊い日常生活 」 へのまなざしが いつも問われていた。 そこではじめて宗教学を学んだ僕が、 いまやヒンドゥー・ナショナリズム研究を専門とし、宗教政治学を掲げている。 (→ こちら、 とくに こちら

諸事情から、インドのヒンドゥー教徒の民俗に直接切りこむような研究が 僕にはまだできていない ( その手の研究には できるだけ目を通すようにしてはいるが・・・ ) 。 エリートの言説分析 が主な仕事である。

しかし、憲政と民俗 とのあいだで蠢いているのが、 ヒンドゥー・ナショナリズムである。 そのことを 僕は誰よりもよくわかっている。 また、ヒンドゥー教において 民俗がいかに重大な意義を帯びているか、 ここであらためて述べるまでもない。

憲政と民俗 ―― この落差が 僕の研究に独自の緊張感をあたえてくれている。 たしかにそうは思うのだけど、 やっぱりいつももどかしい。 だからどうしても、政治理論の書よりは この津城先生の本のようなものを手にとってしまうのだ。

民俗を研究するのはどうしたらよいか、、、 この積年の疑問に なにか答えが見つかればいいなぁ、と思う。

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コメント

はじめまして。Chikuwaといいます。

KIMONOラブ!リングから来ました。
僕は以前より歴史や宗教に関心があり、
近頃では文明の発達によって民俗が薄らいで
いくことに
寂しさを感じるようにもなっていまして、
自然とそういった内容についてのブログを
探すようになっていたのですが、
「歴史」「宗教」などのカテゴリ内の殆どのものは、
単に書籍の紹介や引用の羅列のみのものばかりで、
そこからの自主的な理論の展開や考察などがなく、
つまらなく思っていました。

しかし今回偶然にもこちらのブログにたどり着き、
探していたものがようやく見つかった思いで、
ほっとしています。

若輩者で知識も乏しいので、
今後時間をかけてゆっくりと読ませていただきたく思います。
勝手ながらリンクさせて下さい。

長々とすみません。
それでは失礼します。

Chikuwa さん>

コメント どうもありがとうございます。

ラブ!リングで こうしてお話しさせていただけるようになるのは、本当に不思議なうれしさがあるものです。 これからも どうぞよろしくお願いいたします。

Chikuwaさんのブログの方も、拝見いたしました。 なんと申しますか、実にみずみずしい文章ですね。 またちょくちょく寄らせていただきます。 

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