4冊目の現代インド本
去る 6月2日、 「 オモシロ現代インド本 」 というエントリを立てた。
昨年10月27日、 「 お勧めの現代インド本 」 というエントリを立てた。
このリストへの追加として、、、
単に 「 オモシロ 」 ではない 「 お勧め 」 現代インド本として 次の本を ご紹介。
小川忠 『 インド 多様性大国の最新事情 』 角川書店 ( 角川選書 ),2001年.
聞くところでは、そっち業界では 「 オガチュー 」 の名でとても有名だという著者。 他にも著作はあるが、上の本は とくによいなぁ、と思った。
気づいたことを 列挙しておこう。
① Japan Foundation のデリー駐在所所長として、「 印日文化交流 」 の達成、課題、見通しを 等身大に描いている 。 「 ならでは 」 の話しが たくさん聞ける。 いずれも興味深い。
② 自分の体験と印象を 研究書など 「 大学型知識 」 とすり合わせている。 ( 実際、本書の大きな部分が、有名なインド人学者の研究の要約で占められています ) アカデミズムがいつも優秀・・・なんてことは 決して!! ありません。 しかし、真剣に南アジアに向き合おうとしている地域研究者のことばは、もっと尊重されてよいと思う。 インドのように 先行理解 ならぬ 先行誤解 がたんまりとある地域を知ろうとするときは、なおさらそうだ。 その意味で、 オガチューさんのとった行き方は とても有効だ。
③ インド人としてインドに生きることの大変さを、「 かわいそー 」 という同情でも、 「 やっぱりねぇ 」 という蔑みでもない、 微妙な立場から できるだけ そのままに抉り出そうとする。 オガチューさんが立ちえた場所についていえば、その試みは十分に成功している、と評価できる。
④ そしてそこから、現代日本の姿を 批判的に とらえなおす。
以上、4冊目の現代インド本 紹介でした。
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