ガンディー読むなら
ガンディーに関する新刊書が 最近また少しずつでている。
ネット上での感想や講評をながめていて、 とてもとてもとても大事な翻訳 が ほとんど知られていないのに気づいた。
これはマズイ!! ということで、ご紹介。
- 『 真の独立への道 ― ヒンド・スワラージ 』
- 『 ガーンディー自叙伝 (1) ― 真理へと近づくさまざまな実験 』
- 『 ガーンディー自叙伝 (2) ― 真理へと近づくさまざまな実験 』
- 『 南アフリカでのサッティヤーグラハの歴史 (1) ― 非暴力不服従運動の誕生 』
- 『 南アフリカでのサッティヤーグラハの歴史 (2) ― 非暴力不服従運動の誕生 』
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訳者はいずれも 田中敏雄先生 である。
1の本は、ガンディー唯一の単行書 ( ほどの長さをもった論文 ) である。長崎暢子先生が注目なさっている一冊ということで有名。
( なお、「 ヒンドゥ・スワラージ 」 というカタカナ表記は誤解を招く。 「 ヒンド・スワラージ Hind Swaraj 」、すなわち 「 インドの自立/独立 」 である )
2~5の本、これら4冊でガンディーの自伝である。 ( ただし、死ぬ20年前に書かれたものだから、晩年のガンディーの事跡は書かれていない )
2&3、4&5でそれぞれ別のシリーズになっている。つまり、もともとは3冊の本の全訳が、上の5冊というわけ。
2&3が子ども時代から書き起こし、途中の南アフリカ時代のことが4&5で書かれている。インド帰国後のことが、2&3で語られるという構成。
日本での普及版はいずれも、これら4冊を混ぜて編集しなおしたもの。しかも英語からの翻訳である。
さて、、、 この訳業は 本当に偉大なのです。
なぜなら、ヒンディー語文学の専門家であられ、南アジアの歴史と文化に精通した田中先生が、ガンディーの母語であり 原稿が執筆されたグジャラーティー語から訳出したものだからです。
注: ガンディーは自ら ヒンディー語や英語になおされた 『 ヒンド・スワラージ 』 と 2部の 『 自叙伝 』 に目を通し、手直しをしました。しかしやっぱり、原著はグジャラーティー、と言えます。
訳者による用語解説や背景説明も すばらしい。
これ以上のものは、日本語ではありえません。
ガンディー読むなら まずこの本から!! と全幅の信頼をもって申し上げます。
閑話休題、、、
93年だったと思うが、田中先生がデリーの拙宅にお泊りになったことがある。
あの頃から、この訳業をずっとなさっていた。
ガンディー ( ガーンディー ) のコトバは やっぱり 「 ですます調 」 で訳さないとダメですよねぇ
などという話をしたのが なつかしい。
<メモ>
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