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2006年8月12日 (土)

パキスタンの現状

「 英旅客機爆破未遂事件 」 がパキスタン・コネクションであった との報道を受けて・・・

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先月18日、 ダバ・インディア にて、大使館時代の友人2人と会った。

とても楽しい時間をすごせて、なんだかまたやる気がわいてきた。

本ブログのことも話題になったのだが、こちらのエントリ について、ありがたいコメントをいただいた。

それは こんな批判だった。

「 ムスリム自己責任論 」 を外部者が軽々しく口にしてはならない、、、そのことは分かる

分かるが、、、外部からの 「 刺激 」 がどうしても必要な場合、どうするのか?

たとえば、パキスタンのような国の場合がそうだ

内部からの建設的な批判、あるいは自浄作用が 構造的にどうしても うまく働かないのが、今のパキスタンである

そういった国では、ムスリム自己責任論を待つだけの姿勢というのは、とても誠実そうに見えて、その実 後ろ向きの対応ではないのか

むしろ ある一線を踏み越えたとしても、苦言を呈したり、アクションをおこしたりすることの方が 大事な場合があるんじゃぁないのか

なるほど・・・ この点はたしかに頭になかった。 考えてみるべきポイントである。 人の意見はいつもありがたい。

さて、、、

パキスタンの現状 は たしかにそのようなものだ、と聞き及んでいる。

  • 出版の自由が 基本的にない
  • 思想信条の自由は 影に日向に抑圧されている
  • 優秀な人材は 次々に国外へ移住していき、 「 祖国 」 から できるだけ距離をとろうとする。 勢い、指導層が空洞化する
  • これに加えて、深刻な経済危機がある。 社会生活のインフラはガタガタで、国家の機能はボロボロ。 心はすさみがちで、建設的な議論を ねばり強くくみ上げていく余裕が どうしてもない。
  • 外交の分野でも いいところなし。 一躍脚光を浴びつつある 隣国で宿敵のインドとは対照的に、アメリカからもすっかり見放されつつある

事実上の軍事政権下にある 現在のパキスタン はそんな国だ。

これはもちろん 途轍もなく残念なことだ。 幾人かのパキスタン人の友人の顔が思い出される

このような場所に 外国人として関わろうとする場合、 なるほどたしかに 自己責任論の自然な立ち上がりを待つというのは どこか不十分な態度であるかもしれない。

では どうするのか?

先に結論を言ってしまえば、、、

この問いに 僕は カッコヨク答えることが どうしてもできない・・・

なぜなら、次のような疑問が どうしてもわいてきてしまうからだ。

いったい・・・ 誰がどんな権限をもって パキスタンの現状に手をくわえ、その歴史のコースをつくっていける、つくってもよいというのか?

パキスタンが どのような国になれば、パキスタンの人々が幸せになったと言えるのか?

そもそも 「 幸せ 」 ってなんだ?

自分と自分の周囲の人の幸せならまだしも ( それだって 相当大変だけど、まぁともあれ) 、日本の片隅から パキスタンの人たちにとっての幸せがどのようなものか、 誰が どんな価値観にのっとって 言い切ることができるというのか?

これは なにも難しい問いではない。

アメリカの介入政策と介入文化を想起すればよい。 その 「 嫌味 」 加減は 誰の目にも明らかだろう。 要するに 大きなお世話なのだ。

しかしながら、その全てにもかかわらず、僕は 何もしないだけの諦観主義には堕したくない、と思ってしまう。 それは とても不誠実な態度のように思われるからだ。

でもやっぱり、、、、いやいや それでも、、、だからって それは、、、しかし そうは言っても、、、、、、、、、、、

こうして答えが出ないまま、このジレンマだけがぐるぐる回る。

回りすぎてとても苦しいのだけど、これしか今の僕にはできそうにない。

<メモ>

  • 南アジア専門家のお二人にも ダバの料理は大好評であった
  • 僕は 94年から96年にかけて、在インド日本大使館で専門調査員として働いていたことがある。96年の後半分は大病をして日本に帰国していた。仕事上でも生活上でも関係者の皆さまには、多大のご迷惑をおかけしたのに、一方ならぬお世話とご心配をいただいた。この場をかりて、あらためて御礼をもうしあげたい。ありがとうございました。
  • お二人にはいずれも本ブログを読んでいただいているとの由。いろいろご意見をうかがって、参考になった。

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コメント

Dr. Kondo,

いつも誠実そうで困ったような顔つきの Pervez Musharraf には本当に気の毒な気がするが、国内のテロリストに十分に対応しきれず、世界の迷惑になっていることも事実。さて、どうしようか。

学者は、輿論の第一ステップに関わることしか当面の役には立たないでしょう。(そして学者本来の役割は百年先をリードする地道な仕事だと思います。)

それにしても、わが祖国アメリカの評判は良くないのですね。何かと議論の締め括りで、悪役として引き合いに出されます。管見では、

『そのような現在のスーパー・デモクラシー日本を作ったのは、つまり本国アメリカでもできないようなことを「介入・干渉」して試そうとしたのは、占領軍に潜んでいた当時の若手のアメリカン・エリートだ』

と思うのですが。もっとも、同じ方法が時代も地域も文化も違うところで通用することはないでしょう。それは認めます。しかし、例えばですが、テロリストの差し迫った状況で「どうしよう、どうしよう」が通用するのでしょうか。

日本の情緒的なやさしさが、だらしなく弱い日本の警察権力や、先生を先生として敬わない日本の児童生徒とその父兄、更に何にでも物分りの良い日本の宗教学者を産んだような気がしています。

学者が政治に関われる力は、上述の通り微弱なものです。しかし、社会情報理論で言うオピニオンリーダーとしての力は確かにあるし、このようなブログが登場した今では尚更です。日本語で議論できる(というか日本語のほうが楽な)アメリカの一宗教学者から、敢えて、多少意識的にコメントしてみました。

(ちょっと怖かったのですが、言ってしまいました。このように日本を見ているのは私だけではないのですが、やはり日本語で発言するのは難しいのです。)

始めに返って、パキスタンですが、何かできる人は(学者であろうとなかろうと)すればいいと思います。できないならできないと言えばいいのであって、「自己責任などと突き放すのは無能の正当化」でなければいいのですが。

生死に関しては、今は世界は一つなのですから。

Mark W. Waterman, Ph.D.

近藤先生へ
先日は旧交を温める機会をいただき有難うございました。小生29日にインドに向かいます。
上記の記事、面白いですね。僕の同期でも、同じようなディレンマを指摘する人がいます。
住宅等セットアップして、近藤君の来印を待っています。

Dr. Waterman>
コメント本当にありがとうございます。お返事を書いているのですが、非常に長くなっているのと、一度データが消えてしまったのとで、すっかり遅くなっています。もう少しお待ちください。

dahba Indiaさん>
どうも。もう29日に出立ですか。もう一度東京でお会いできたらと思っていたのに、残念。今年こそ、渡印したいと思っていますので(お金もどうにか何とかなりそう・・・)そのときはよろしくお願いします。

Dr. 近藤,

誠実なだけでなく聡明な近藤先生には蛇足ですが、私のコメントはほとんど先生に対する賛同です。ただし、アメリカの部分には唐突の感がありましたので「言ってしまった」訳です。

この所、夏休みという訳ではないのですが、しきりに日本の宗教ネットとブログを芋蔓式にあさっていて、慣れないことからあるところでコメントを二度入力してしまいました。ごめんなさいと言いたいのですが、そんなことをすると余計にその方のブログを汚してしまいますので困りました。書き上げたことを消してしまう(機械に消されてしまう)のも度々で悲しくなるやら、失った時間がもったいなくて自分で自分に腹が立つやらで大変です。

「パキスタン」の前の「学歴だけは」も読ませていただき、共感もし、正直な記述に好感をいだきました。学歴社会のアメリカでも、職業学位の博士でなく、研究学位の特に人文科学のPh.D.は就職難です。特に地域研究は間口が狭いと邪推されてかわいそうです。イギリスで学位を取った知人は「学歴詐称?」して、しばらくの間家族を養うため郵便局員をしていました。学歴社会(と平等主義)のため、overquolificationを隠して(博士であることを隠して)採用されたのですが、勿論アンフェアであり、犯罪です。(もう時効なので。)

いずれポストは来るでしょう。それよりも、コマ数が多かったり学生が多くて準備や採点に時間を割かれて研究に支障が出るようなものではない、良い環境のポストが現れることを祈ります。

Mark W. Waterman, Ph.D.

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