現代宗教学の教科書 やっと
アサド先生や 増沢先生の著作の訳行で、 業界ではまったく有名な 中村圭志さん
またも著作を 上梓なさいました
- 『一Q禅師のへそまがり <宗教> 論』 (サンガ,2009年)
久しく待たれていた 現代宗教学の教科書 です
しかも 読みやすい対話形式 というのですから、 喜びもひとしおです
今! 授業で胸をはって紹介できる 宗教学の教科書 が やっと手に入りました
島薗進先生の 『宗教学の名著30』 (ちくま新書,筑摩書房,2008年) は そのような本だったと思いますが、 いかんせん 初学者の方には ちょっと難しかった・・・
また、 もちろん! これまでにも 名著たる宗教学入門書は ありました・・・ 後述
さらに、 中村先生には 『信じない人のための〈宗教〉講義』 (みすず書房, 2007年) という 同様の入門書がありましたが、 『一Q禅師』 のほうが より体系的で、 また理論的です
アマゾンを見てみますと、 なかなかの売れ行きのご様子
どういう方々がお買いになっているのか、 ちょっと想像がつきませんが、 良い本は ちゃんと売れてほしいものです
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ちらり 特徴を紹介させていただくなら、、、
中村先生独自の事例解釈と 用語法が満載であるのはもちろんですが
やはり! アサドの議論を 実に的確 かつ簡明に 日本語にて表現している、、、
この点が特徴だ と言えます
YONSH にて、 お世辞にも読みやすいとはいえない アサド先生の本を、 中村先生の本に差し替えようかな、、、 と僕には思われるほどです
アマゾンのレビューでは、 尊敬すべき書評家 ソコツさん が 宗教への人類学的なアプローチ、、、 ということをおっしゃっていますが、 これも アサドを念頭においてのことでありましょう
僕としては、 「 ポスト宗教概念批判の宗教学 」 という意味で、、、 また
「 欧州語の支配力からのズレに立脚した宗教学 」 という意味でも、、、
<現代宗教学> というカテゴリーを提案したいと思います
これだけを読めば 宗教と宗教学がすべて分かる なんてことは、 もちろんありません
というか、 何かをすべて分からせることのできる一冊の本、、、 などというものは、 原理的に 人間業では 書けません
まぁ そういうことはさておき、 ぜひ多くの方に読んでいただきたい本なのです
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コメント
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早速読んでみることにします。良書の紹介ありがとうございます。
わたしは〈信じる人〉ではありますが、自分の中の〈信じない人〉をしっかり観て、かつ対話しつつ、神学していこうと日ごろより念じております。この〈信じない人〉を自覚する上で宗教学が有益ではなかったというわけではないのですが、二人の〈人〉が出会う場所が、かならずしも理性ではなかったし、またわたしがどちらかといえば歴史的感性の持ち主であることもあって、従来うまくかみ合っていませんでした。ソコツさんの書評を読んで、この本なら心に響いてきそうです。期待は大。もっとも、わたしのような逸脱者はなにかにつけ「ポスト」性とシンクロしやすいので、たえず予覚(と余韻)に遊びがち。地に足の着いたずれへの立脚を癖付けるためにも、今後も努めていきたいです。
まずは一言御礼まで。
投稿: GREG | 2009年4月26日 (日) 16時27分
師匠>
コメント ありがとうございます。
師匠のオメガネニかなうかどうかは、 なんとも心もとないのですが
良書であることは 間違いないと思います。
少なくとも、 授業で紹介できる本があるのは、、、 安心できます。
もちろん、 これはスタートにすぎません。
私見では、 いくつかの点について 修正や発展をほどこすべきなようにも思います。
予覚と余韻、、、 ということでいえば、 大変 「地に足の着いた」 タイプの論述であると申せます。
何かの参考になれば、 掛け値なしに 幸甚です。
ではでは
投稿: コンドウ | 2009年4月26日 (日) 23時12分