ガンディーとエリアーデ
エリアーデが面白い ので、 読書メモを連続投稿してみます
内容的に、 <連載 中沢新一論> と かなりリンクします
ご興味のある方、 カテゴリ からご参照ください
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ガンディーの敬愛者は 当時のヨーロッパにたくさんいた
有名なところは ロマン・ロランだ
彼の評伝 『マハトマ・ガンディー』 は、 広い読者層を獲得した が、 それは
オリエンタルなもの、 インド的なもの、 神秘的なもの、 古代的なもの、、、 などに対して、 当時のヨーロッパ人が、どれだけの関心を もうすでに もっていたかを示す
ちなみに、 知識層だけでなく、 かなりの民衆層にも それは浸透していた
世界でいまも最もよく知られた宗教学者、 ミルチア・エリアーデもまた ガンディーに惹きつけられた若者のひとりだった、、、
ということを 今回はじめて知った
- エリアーデ 『迷宮の試煉』 (作品社,2009年) より
ガンディーを見たこともあり、 声を聞いたこともありますが、 遠くからで、 よく聞こえませんでした。 そのころスピーカーもありましたが機能していなくて。 カルカッタで、 ある講演で、 非暴力デモのときでした・・・・・。 でも私は彼に感服しています ―― みんなと同じに。 私が携わっていたのはほかの分野でしたが、 彼の非暴力キャンペーンの成功にはおおいに関心を惹かれました。 もちろん私は一〇〇パーセント 反英 でした。 スワラジ の闘士に対するイギリスの弾圧に私は苛立ち、 憤慨しました。
74頁。 傍点が付された部分は、 太字で示した
インド留学中のエリアーデが見たのは、 (1930年 ということだから)
あの有名な 「塩の行進」 によって再びインドの民族運動の先頭に立った ガンディーの姿だった
政治に関心をもったのはインドに来てからです。 なぜかというと、 ここで抑圧を見たからです。 私は考えました。 「インド人はまったくもっともじゃないか!・・・・・」。 そこは彼らの国で、 彼らの求めるのはある種の自治でしかなく、 彼らの示威行動は完璧に平和的なもので、 だれを挑発することもなく、 自分たちの権利を要求していたのです。 しかも警察の弾圧は不必要に暴力的でした。 そのためにカルカッタで私は政治的不正を意識し、 同時にガンディーの政治活動の精神的可能性を発見したのです。 打撃への抵抗と無反撃を可能にするこの精神的規律。 それはキリストに等しいもので、 トルストイが夢想したものでした・・・・・。
76頁
対話相手の クロード=アンリ・ロケ が聞きなおす
R ◇ では無抵抗運動に心も精神も奪われたのですね・・・・・。
E ◆ 暴力的運動にも! たとえば、 私はある過激派の話を聞き、 もっともだと思いました。 いくらかの暴力も必要だということが私にはよく分かっていました。 でも結局のところ、 私は非暴力運動に非常に惹かれました。 次に、 それはただ並々ならぬ戦術であるだけでなく、 みごとな大衆教育であり、 自己統御を目指すみごとな民衆教育法でした。 まったく、 それは政治以上のものでした。 現代政治以上、 という意味です。
同。 「R」 がロケ、 「E」 がエリアーデ である
ガンディーに対するエリアーデの手放しの賛美、、、
この言葉は、 70年代半ばのアメリカにおいて吐かれたものだから、、、 つまり
アメリカにおける公民権運動や反戦運動や反核運動を背景として吐かれたものだから、、、
ちょっと 差っぴいて聞かれるべきだろう。
エリアーデが どの程度まで ガンディー主義者だったかはさておき
二人が共有した時空間には 大いに興味をかきたてるではありませんか!
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