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2009年5月24日 (日)

シュナの旅

重版されつづけているのを聞いて、 素直にうれしい本――

  • 宮崎駿 『シュナの旅』 (アニメージュ文庫, 徳間書店,原1983年)

2008年6月出版のものを買ったのだが、 なんと69刷!

アマゾンのレビューも54件ついて、 星五つ!

超ロングセラーで、 最高の評価を得ているわけですね

僕が この絵本と出会ったのは高校時代

『カリオストロ』 で完全にこの映像作家にやられていた、 鹿児島の高校生の僕は

近所の <オタク・ショップ> (の先駆け) で、 この本を買った

この世界観と絵にやられて (絵の上手さは 今更言うまでもない)

周囲の友人に宣伝しまくったものだ

中途半端な 「ワル」 でありながら、 オタク文化に傾倒していた青春時代――

ほろ苦い思い出のひとつだ

「売り買いによる自由でなく

剣にかけて あなたの誇りのために戦った

あなたは自由だ」

こんなベタな台詞に 今でもグッとくる

カッチョイイです

====================

アラフォーのオッサンになって読み返してみたら

その文章の上手さと、 世界観の根みたいなものに あらためて感じ入った

1983年5月10日付け 「あとがき」 の一部を書き抜いてみます

 この物語は、 チベットの民話 「犬になった王子」 (賈芝・孫剣冰編 君島久子訳 岩波書店) が元になっています。 穀物を持たない貧しい国民の生活を愁えたある国の王子が、 苦難の旅の末、 竜王から麦の粒を盗み出し、 そのために魔法で犬の姿に変えられてしまいますが、 ひとりの娘の愛によって救われ、 ついに祖国に麦をもたらすという民話です。

 現在、 チベットは大麦を主食としている世界唯一の国ですが、 大麦は西アジアの原生地から世界に伝播したものだそうです。 だから、 王子が西に向かって旅をしたという内容は歴史と符号しています。 ただし、 この民話は本当にあった出来事というより、 チベットの人々が作物への感謝を込めて生み出した、 すぐれた物語と考えるべきでしょう。

『シュナの旅』  頁数なし

いかがでしょうか

僕にとって発見だったのは、 20数年後に買いなおしてしまうほど

記憶の深いところに刻み込まれていたこの本が

「民話」 と 「チベット」 に根をもつ、、、 ということでした

「民話」 すなわち <神話>、、、 「チベット」 すなわち <インド>、、、

(20世紀前半まで、 欧米人は チベットを <インド> の一部と観念していました)

これはまるで、 僕が 宗教学者に

しかも インド研究の宗教学者になるのを予告していた本ではなかったか――

そんな風に思ったのでした

<宮崎駿論> というジャンルはありますが (僕はほとんど読んでません)

この絵本はあまり取り上げられていないように見受けられます

宮崎駿のかなり深いところに到達できるし

<インド> と <神話> の真髄に触れることもできる

そんな一冊なのかもしれません

(授業で使ってみようかな・・・)

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コメント

  『シュナの旅』は『犬になった王子』が下敷きかもしれませんが、『ゲド戦記』の多くの部分を引用しています。近藤先生が大好きな場面は、実は『ゲド戦記』ではまったく違うあり様です。

 「あれは戦争に使う船なんでしょうか。」
 二十本オールのガレー船のわきを通過する際、アレンがたずねた。
 「いや、積み荷の鎖からすると奴隷船だろう。南海域では人身売買が行われているんだ。」連れは答えた。
 アレンは言われて、ふと考えこんだふうだったが、やがて策具箱に近づき、中から自分の剣を取りだした。旅立ちの朝、きっちりと布にくるんで、しまっておいたものだった。彼はおおいを取ると、鞘におさまったその剣を両の手にささげ持ち、何か、心を決めかねて、その場にたたずんでいた。剣帯が手からこぼれて、垂れさがっていた。
 「どう見ても、商人が持つ剣じゃないな。」彼はつぶやいた。「鞘が立派すぎる。」
 ハイタカは、舵をとるのに忙しかったが、ちらとアレンの方を振り返って言った。
 「気が向いたら、帯びるがいい。」
 「いえ、ただ、この剣には深い知恵がこもっているのではないかと思ったんです。」
 「ああ、剣の中では知恵者だ。」連れは、込み合う湾の中を、注意深く舟を進めながら言った。
「それは、使われるのをしぶる剣ではなかったかな?」
 アレンはうなずいた。
 「ええ、そう言われています。でも、人を殺したことはあるのです。」アレンは使い古された細長い剣の柄に目をおとした。「たしかに殺してはいるのです。わたしはまだですが・・・。この剣を見ていると、なんだか自分が愚か者に見えてきます。このほうが、わたしよりもずっと長いこと、世の中を見てきていますし・・・。やっぱり、自分の短刀を持っていくことにします。」
 アレンは言い終わると剣を包みなおし、策具箱の中に押しこんだ。その顔はくやしそうにゆがんでいた。ハイタカはしばらく黙っていたが、ややあって、言った。
 「オールをうけもってくれないか。あの石段のわきの桟橋につけよう。」
  ( ル=グウィン ゲド戦記Ⅲ『さいはての島へ』より )
 
 このあとアレンは捕まって自らが奴隷として奴隷船に乗ることになります。ゲドに救われたあとのやり取りもとてもいいので、ぜひ読んでいただきたいです。
 ご存じのとおり、この旅の後、アレンは大王となって世界を変える仕事をすることになり、ゲドは魔法を使いはたしてただの男になります。

 宮崎駿氏の物語も魅力的ですが、理解を深めるためにもゲド戦記を読まれる事をお勧めします。ひょっとすると、近藤先生の使命にももっと奥があるのかもしれません。
 

yokosawa さん>

なるほど ゲドでしたか。 ノーマークでした
(指輪物語は好きで、読んでますが・・・)
一度、手にとってみたいと思います
ありがとうございます

宮崎父がこの物語が大好きでしたよね、もともと

 今年の秋に岩波書店から出版される拙作絵本『犬になった王子(チベットの民話)』の原話は、宮崎 駿氏の『シュナの旅』の原話と同じ、君島久子先生の名作民話です。  
 私は小さい時より宮崎 駿アニメの大ファンで、『シュナの旅』も中学の時に読んで以来、私の最も大切な作品の一つになっています。
 機会がありましたら、私の絵本作品をご覧下さいましたら有難いです。よろしくお願い申し上げます。  日本画家・絵本画家 後藤 仁

後藤仁さま>

調べましたら、『犬になった王子』 今秋に出版予定なのですね。

おめでとうございます。ぜひ落手いたしたく存じます。

拙作絵本『犬になった王子(チベットの民話)』は、11月中旬に岩波書店から出版の見込みです。10月15日以降に岩波書店HP等でも正式発表があるでしょう。来年初めには東京都心の大手書店2カ所で「後藤仁絵本原画展」も開催予定です。今後ともよろしくお願い申し上げます。 日本画家・絵本画家 後藤 仁

近藤先生お久しぶりです。お邪魔致します。
後藤 仁様、絵本『犬になった王子(チベットの民話)』、手に入れたいと思います。幼稚園児の孫でも大丈夫でしょうか?

みーたん様。コメント有難うございます。この絵本『犬になった王子(チベットの民話)』(岩波書店)は、目安としては5~6歳以上となっていますが、子供はどんどん成長しますし、子供の吸収力はすごいものがあると思いますので、幼稚園のお子様でも十分に楽しめると思います。happy01ぜひ、読んでやって下さい。絵本の発売は11月15日ですので、よろしくお願い申し上げます。 日本画家・絵本画家 後藤 仁

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