中沢新一の唯物論 (追記1)
<連載 中沢新一論> 前便は こちら
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中沢思想の強さの秘密、、、 その一つは 「唯物論」 にある
こうして私たちは、 プラトン哲学の後戸の位置にコーラの概念を発見するのである。 この概念は、 極東の宿神=シャグジの概念との深い共通性を示してみせるのだが、 それはおそらく、 かつてこのタイプの存在をめぐる思考が、 新石器的文化のきわめて広範囲な地域でおこなわれていたためだろう、 と考えるのが自然ではないか。 コーラという哲学概念のうちに、 私たちは神以前のスピリットの活動を感じ取ることができる。 西欧ではいずれこのコーラの概念を復活させる運動の中から、 現代的なマテリアリズム (唯物論) の思考が生まれ出ることになる。 その意味では、 マテリアリズムそのものが哲学すべてにとっての 「後戸の思考」 だと言えるかも知れない。
『精霊の王』 (講談社, 2003年) 272頁
言うまでもないことだが、 ここでの 「唯物論」 は 「史的唯物論」 とは違う
むしろ 「物質主義」 「物質論」 としての マテリアリズムである
それはむしろ、 ナチュラル・サイエンスの物質観に近い
そしてまた、 「モノ」 の存在論に近い
【メモ】
こちらのエントリ で 『緑の資本論』 をお勧めしたが
中沢本で、 もうひとつお勧めなのが 上の 『精霊の王』 です
ちょっと繰り返しが多くて、 モタモタ感が出ているのが残念ですが
また、 民俗学的、 日本古代史的には 相当反論があるでしょうが
まぁ、、、 オモシロイです
少なくとも、 <ザ・中沢思想> お好きな方は ぜひどうぞ
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