流動的知性とは (1/3)
<連載 中沢新一論> 前便は こちら
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スティーヴン・ミズン 『心の先史時代』 (青土社, 1998年) は
「種形成段階」 を説明するべく
初期ホミニドにおける 「心のモジュール性」 という進化心理学上の仮説を示す
この説を 中沢新一先生は 全面的に支持して、 持論を展開する
たとえば、 『熊から王へ カイエ・ソバージュⅡ』 (講談社, 2002年) 73-76, 78-79頁
この説は、中沢人類学のかなり大事な部分を構成する
どうやら、 現生人類の脳に発生した流動的知性が、 すべての鍵を握っているようです
同 199頁
このことを中沢先生は 「認知考古学」 から学んだのだという
現生人類の脳には、 特化された機能をもった領域の間を自由に動いていくことのできる流動的知性を発生させるニューロンの新しい組織化がおこったことによって、 いま私たちがもっているような能力 (象徴能力) が獲得されたと、認知考古学の研究は教えています。
同 189頁
「流動的知性」 論は、 『神の発明 カイエ・ソバージュⅣ』 (講談社, 2002年) の根本的議論であり
(とくに第2章 「はじめての 「超越」 」 を参照)
したがって中沢思想のもっとも重要な柱である
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しかし、 コリン・レンフルー のような認知考古学者は
「心のモジュール性」 の仮説をはっきりとしりぞけるのである!
そう! はっきりと!
<つづく>
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