インド総選挙 2009 分析4
連載 「インド総選挙 2009」 最近7便
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- インド総選挙 2009 速報2
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前便 にて 広瀬崇子先生の非常に包括的な時評を紹介した
短評であるからして、 ごくサラリと書かれていたけれど
いうまでもなく、 そして相変わらず! インドにおいて貧困問題は巨大で深刻だ!
そこに 「毛沢東主義」 (マオイズム) の問題が絡んでくると
今の日本では想像もつかないほど、 事態は治安と統治の問題になる
朝日新聞 2009年6月22日付け 朝刊に、 武石英史郎さん の記名記事
インド東部の 「解放区」 ルポ
が載った。 asahi.com より転載させていただく
【メモ】 元記事には写真も載っている。 さらにいろんな写真も見て、 記事も検索してみたいという方、 朝日新聞社の各種データベース・サービス をどうぞ ← 宣伝
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「政府も警察もいらぬ」インドの農村、武装し自治宣言
2009年6月22日3時40分
インド東部の貧困地域で、反政府武装組織インド共産党毛沢東主義派(毛派)に扇動された農民が、警官や政府職員を追い出し、自治を宣言した。「解放区」は250の村々に広がり、インド政府は対応に苦慮している。
乾期のため耕す者のない荒れ果てた田園地帯。一本道が突然、行き止まりになった。インド東部の中心都市コルカタから車で約4時間。深さ1メートルほどの溝が何者かによって掘られ、先に進めない。さらに1時間ほど歩き、アンダルジョラ村にたどり着いた。
家々は戸を閉め切り、静まりかえっている。見張り役の男に声をかけると、「みんな出てこい」と叫んだ。
あっという間に男女約300人に取り囲まれた。鎌やくわ、キツネ狩りに使う弓矢、棒きれを手に武装している。「警官は手当たり次第、村人を逮捕しては、カネをせびる」「政府も警察もない方がましだ」と気勢を上げた。
地元の西ベンガル州政府と村々の対立が始まったのは昨年11月。近くで起きた州政府首相を乗せた車列を狙った爆弾テロがきっかけだった。03年ごろから一帯に浸透を図っていた毛派の犯行とみられ、警察は深夜、民家を急襲したり、村人に暴行を加えたり、手荒い捜査活動をした。
村人の反発に毛派が目を付けた。毛派の指導のもと「警察の残虐行為に対抗する人民委員会」が結成され、アンダルジョラを含む州内の250村に支部が作られた。
中心集落ラルガルでは、毛派最高幹部の一人「キシャンジ」という人物が指揮、州政府関係者の暗殺を繰り返し、村人を扇動して警察施設や政府職員の住宅を襲わせた。アンダルジョラ村でも2週間前、州政府の駐在員を村人が追い出し、立ち木を倒して道路を寸断。自警団を結成し、警察の進入を拒んだ。
背景には、貧困を解消できない当局の無策がある。村に通じる道沿いに古びた電柱が何本も立つが、電線はない。村人の一人は「選挙のたび州政府は電気を通すと約束するが、それっきりだ」と話す。
事実上の「解放区」に危機感を抱いた州政府は18日から、大量の治安部隊を投入して毛派掃討作戦を開始。ラルガルの警察署を奪い返したものの、「毛派とともに生きる」と誓う村人に守られてゲリラ攻撃はなお続く。
地元テレビによると、毛派が拠点を置く中部チャティスガル州で20日夜、毛派が仕掛けたとみられる地雷を警察車両が踏み、警官ら少なくとも12人が死亡した。(アンダルジョラ〈インド東部〉=武石英史郎)
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