今の日本に必要な政治
AERA で連載中の
新浪剛史のビジネス元気塾
読者からの質問に、 ローソン社長の新浪さん が答える――
2009.8.24 号 (85頁) の第33回でとり上げられた質問は
大学院生 | 男性 | 23歳
選挙が近い。 今の日本に必要な政治って、
何だと思いますか?
新浪さんはまず
政治とは、 私見ですがドイツの哲学者カントが唱えた 「アンチノミー (二律背反)」 を解決していくことだと思います
強調原文
と述べる
暮らしを支える政策にはお金がかかる、 将来を見据えた施策にも、 お金がかかる。 かといって、 どちらか片方だけに注力すると、 日本はどうなるのか―― この二つのバランスが難しい
経営者の視点で世の中を見てみると、 最近は 「そこそこの暮らし」 に満足して、 自ら成長する意欲を失っている人が多い気がします。 今こそ 「将来はこういう日本にします。 だから、 この政策を進めます。 みなさんもがんばってください」 と、 国が確固たる姿勢で国民に訴えるべき
「国」 に対する要請は まことにそのとおりだ。 一方
新浪社長が言うところの 「成長」 とは なんだろう?
どのように、 どこに向かって 「成長」 するのか・・・
そこがいま問題なのだが、 ここでは述べられない
引用をつづけます
厳しいけれど、 トンネルを抜けると実現性のある夢や希望があることを示すことができれば、 国民も動くはずです。 誰だって、 子孫に明るい未来を残したいのだから
こうしてみると、 政治と経営は似ています。 数字が悪いからといって、 人材育成 [ママ] をやめてしまうと、 10年後、 会社は生き残れるでしょうか。 僕も二律背反のバランスに、 毎日悩んでいるんです
[ ] は引用者による補足
そして、 最後の段落でこう呼びかけられます
常に難題を 直感的に解決 できるのが、 真の政治家、 経営者といえるんでしょうね。 直感といっても、 「動物的な直感」 ではなく、 知力が積み重なった 「人として進化した直感」 ですよ。 さあ、 各党のマニフェストを冷静に判断して一票を投じ、 とぎ澄まされた直感を持つリーダーに期待しましょう
強調原文
短いエッセイだから、 ぜひ読んでいただきたい
投票前に!!!
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コメント
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いよいよ日本の政治史に残ると思われる選挙が行われますね。結果もさることながら、投票率も大いに気になるところです。(ここまでキャンペーンを張った先生はもっとでしょうね)
民主党の絶対優勢の世論の中、今までいわゆる族議員に支えられていた人々はどのように感じているのか、そしてどのように票を投じるのか、とても気になっています。組織票を武器に、巻き返しに躍起になっているでしょうか。
『大雑把にいって、今の与党だけでなく、戦後日本の議会政治では、あるいはもっと大きくいえば社会全体に、少数意見の尊重という考え方が薄い。戦後、定着してみんなが知っていることは、多数派を選ぶ選挙をして、多数派の意見が正しいと考える習慣です。[・・・]
さらに政治的には少数意見を代表する野党がないと、社会の全体が意見を変えることができないのです。多数意見に従ってある方向に邁進して行って、こいつはまずいと思ったときに、方向を変えようと思っても、違った方向を代表する専門家も指導者もいない。全会一致団体というのは、いい目標を選んだときはみんなが一致協力するから効率的に働くが、選んだ目標がまずくて方向を変える必要があるときには、方向転換能力が欠如しているので「玉砕」する。カタストローフまで行ってしまうのです。それを避けるためには、方向を変えるべきときに、同じ人が後悔して新しい道を発見するのではなくて、初めから別の方向について考え、それを望み研究して来た人たちと選手交代すればいい。そうすると、方向を変えやすい。
日本の場合は選手交代ができないから、みんなが全部変わるかどうかになっている。それは難しいから、どこまでも惰性にひきずられます。』
(加藤周一 『私にとっての20世紀』pp21‐22)
さらに変化を求めるなら、少数意見を拾える政治にしなくてはならないと思います。また、同じように社会も画一化することなく、少数意見を考えられるひとが育ち、そして少数意見についての広い受け口を持っていることが必要になるでしょう。
今後の日本の将来を、子どもたちが夢見られるものにするために。
投稿: u.yokosawa | 2009年8月30日 (日) 02時58分