不安の種
先日 「無意味なものと不気味なもの」 というエントリ を書いた
《無意味なものと不気味なもの》、 あるいは 《非日常的なものと異様なもの》
こうしたものは 現代日本の日常にあふれかえっている――
そのことに注意をうながしたエントリだった
この領域は 現代宗教学にとって とても重要なわけだけど
この関心から
「宗教学の方法」 という授業 を受けている学生さんが
中山昌亮さん の 『不安の種』 という漫画を紹介してくれたのが
僕の目をひいた
何冊か出ているようなので、 とりあえず
- 『不安の種 フタの章 1』 (秋田書店, 2004年)
をば 買って 読んでみた
とても面白かった
学生さんが紹介してくれたのは 「#29 箪笥」 という回で
どの冊に載っているのかわからないのだけれど、 ともあれ
かなり漠然とした 「不安」 とか 「日常のなかの異物」 みたいなものが描かれていた
そういうものを予期して、 上記第1巻を読んだが
こっちのほうは、 もう少し ベタな幽霊話 (ゴースト・ストーリー) だった
『新耳袋』 とかなり近いテイストだなぁ、 と思った
予期とは違ったが、 とても面白かった
ちゃんと ゾッとした・・・
ちなみに、 僕が一番気に入ったのは 「#23 雨の日」
また、 異物性と不安ということであれば、 「#25 散歩」 がそれにあたる
ホラー漫画は 最近よくあるけれど、 そして この手のものもよくあるけれど
必ずしも 『不安の種』 のような イヤァ~な雰囲気 を醸しだせていない
画力もあるし、 コマ割りもあるし、 しかし何よりも
これはもぉ 作者と編集者のセンスだろう、、、 と思った
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