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2009年8月29日 (土)

政権交代が起こらなければ

いよいよ明日が投票日――

またも 長い記事になりますが、 どうぞお付き合いくださいませ m(_ _)m

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こちらのエントリ でも紹介したとおり

僕は、 高村薫さん の時評をとても信頼している

今日 (2009年8月29日) 付 朝日新聞 朝刊 の 「オピニオン」 頁は

「09 政権選択」 として、 高村さんが寄稿した時評が載っている

題して 「一票の重さ」

はけ口求める不安

皮膚感覚に背く

成長依存の枠組み

*      *      *      *

劣化する政党政治

レール敷き直し

今度こそできるか

これがまた・・・ 頭がさがるほど 的確な文章だった

今回の衆院選でおこっていることの日本史的な意味――

有権者の動きに関する政治社会学的な分析と理解――

個別の政策はいつも重要だが、 今回の選挙では

このように中期的な視野を どれだけ多くの人がもてるか

そのことのほうが大事だと思う

6段抜きの長めのエッセイである

部分的な引用もいいが、 ぜひ全文を読んでいただきたいところ

  • 残念ながら、 ネット上では読めない
  • 「朝日 オピニオン 高村薫 一票の重さ」 で Google! →

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さて、 内容を紹介していきます (引用中、 ルビは省略します)

全体は四つの節に わかれています

①/4 は 有権者の動向を概略します

有権者は、 特定の政党に期待するというより、 とにかくこの閉塞感からの脱出を願っているというのが正しいが、 とまれ現状への不満が、 過去にこれほどはっきりと政権与党への不満というかたちになったことはない。 また、 現状からの変化への期待が、 こうして国民レベルで政権政党の交代論に結びついたのも、 初めてである

もちろん、 どの党が政権政党になっても、 すぐに経済や家計が上向くわけではないし、 山積したひずみが一気に解決するわけでもない。 また、 現状への不満はけっして経済成長や豊かさの否定ではない以上、 変化を期待すると言っても、 あくまで基本的な価値観にまでは及ばないことが前提になっているかもしれない。 またあるいは、 求めているのはどこまでも目先の景気回復と生活の安定であり、 その処方箋が示されるのなら、 どの政党でもよいということかもしれない

しかし、 ともかく小選挙区制が導入されて15年余。 …… いざ選挙となれば、 政権交代は結果として起こりうる。 有権者の多くがいま、 初めて一票の重みを感じ、 初めて真剣に各党のマニフェストを見つめている

「基本的な価値観」 と 「目先の景気回復と生活の安定」 ――

双方への目配りは いま必須の課題である

この論点は この後でも展開されることになる

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②/4 は 経済に関する見方をまとめます

日本の繁栄が揺らいでいる―― これが出発点である

旧来の製造業と輸出に依存した日本の産業構造は、 その技術力を活かすような構造転換になおも踏み出せていない

大きな構造転換の見取り図を、 誰も描くことが出来ていない

そこに、 昨秋の金融危機の大打撃が加わった

それは 「ひたすら雇用格差と所得の現象を生み続け」

「地方経済の疲弊を加速させた」

そのため、 多様な国民一人ひとりの 「不満と先行き不安」 が

「一斉に捌け口を求めている」 のだ

しかし、 「真のキーワード」 は別にあるのだ、 と高村さんは言う

真のキーワードは、 先進国が主導してきた20世紀型の経済成長の終わりと、 低成長に入ったこの国の生き方だろう。 そこには、 国のかたちとしての官と民のあり方や、 私たち自身の価値観のあり方も含まれる

具体的には、 「成長」 なるものへの依存が問題だという

「自民党型政治の限界」、 小泉政権の路線と、 その挫折――

こうした流れを跡づけたうえで、 高村さんはこう主張する

してみれば、 時代の変化に対する有権者と政治双方の認識に、 依然不確かさがあったということだろう。 産業、 行政、 国民生活のすべてに誰もが構造的な停滞とひずみを感じ、 誰もが改革の必要を感じながら、 一方で、 誰もがなおも従来の成長のイメージを不確かに抱き続けてきたのである

あらためて、 従来の 「利益分配構造」 が指摘され

「改革のイメージだけを消費して終った」 小泉政権、 そして

その後の自民党の計略が明らかにされる

自民党は構造改革こそ格差をもたらした元凶だとして、 ここぞとばかりに従来の利益誘導を強めていった

こうして今、 いよいよ衆院選が行われることになった

麻生政権による景気対策について、高村さんは

「有権者の皮膚感覚」 を こう代弁してみせる

有権者がこれを、 「百年に一度」 の非常措置として必ずしも評価しなかったことは、 政権の支持率低迷に表れている。 私たちはどこかで安定成長を信じ続けながら、 それでも、 景気対策=財政出動=景気回復といった旧来の図式がもう通用しない時代の大変化を、 肌で感じてはいるということである。 この、 有権者の皮膚感覚に背を向けた麻生政権と自民党方政治の失点は大きい

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③/4 は 有権者が次の政権に望むものはなにか である

地方と都市。 正規雇用者と非正規雇用者。 公務員と一般。 高齢者と現役世代。 富裕層と貧困層

こうした人びとの利害の不一致がまず確認される

そのあいだでの利害調整、 権益配分といった課題と

それへの取り組みの基準として

予算規模、 人口構成、 産業構成があげられる

この実に真っ当な主張から、 高村さんは 次のような

エコノミストではなかなか言い切れない結論 (!) を引き出す

そうであれば当然、 これからは右肩上がりの成長下とは異なる枠組みが求められることになろう

キーワードはやはり、 人口減少と低成長であり、 その下での安定である。 安定という以上、 マイナス成長に陥らない産業構造の創出が第一であり、 景気回復はその道筋の外にはない。 また、 製造業や中小企業の今後のあり方も、 雇用のあり方も、 この産業構造全体の将来像を抜きにして再構築できるものではない

さらに農業も、 産業構造の大きな一角を占めるものとして構想しなければ、 自由貿易が進む世界で、 自給率向上どころか存続すらおぼつかないだろうし、 意識だけは高まっている地方分権も、 地域経済を支える産業構造の再構築を抜きにしては成立しない話だろう

この点に関し、 各党の政策もまったく不十分だ、 と言われる

しかし

言い換えればそれだけ大きな課題だと言うことである。 これは国民の暮らし方、 働き方などの価値観全体をゆるやかに変えてゆくものであり、 政権一つで達成されるようなものではない。 必要なのは、 まずは道筋の提示であり、 なにより変化の時代を生きてゆくという私たち全員の意思である

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④/4 は 社会保障について特筆する

国民生活のキーワードは少子高齢化社会と、 その下での社会保障のあり方である

子ども手当て (出産・育児・教育)、 年金制度、 国民皆保険制度――

これらの優先順位の高さが 確認される

さて問題は、 もちろん財源である! これについて高村さんは

消費税引き上げの前にやるべきことがある、 と言う。 すなわち

「給付と負担の割合をどうするか」 の、 世代間の合意形成であり、 これも各党が積み残している課題である

そもそも 財源問題については

まずは一般会計と特別会計の財務内容の総点検と情報公開が先であり、 私たち有権者としては、 予算編成も財政再建もそこから始まると考えてよいと思う。 ここでも、 問われるのは全体の構想である

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最終二段落 が 本コラムの締めになっている

そこで高村さんは 政権交代の必要性を強く訴える

民主党支持! ではなく、 政権交代支持! である

さて、 個別の政策では大同小異の与野党だが、 政治手法は大きく異なる。 内閣と党が一つになって、 政権政党の意思で官僚を動かすことを政治主導という。 これを民主党が実現できたなら、私たちはこれまで見たことのない政治の姿を見ることになろう。 この政治主導は、 小泉政権が目指して果たせなかったものであるが、 実はこれがあって初めて、 政治が公約した政策の実現も、 霞が関改革も、 予算の組み替えも可能になると言える。 このことは、 何をおいても、 この国にとって画期的なことだと個人的には思う

人によって指示する政策や政党はさまざまでも、 政党政治においては、 ときに政権交代が起こらなければ政治が停滞し、 社会構造も適切に更新されてゆかないのは確かである。 今回の選挙は、 自民か民主かというより、 劣化が著しい政党政治のレールを、 久々に敷き直すか否かを問う選挙である。 内政も外交も、 まずはそのレールの上にあるからである

こうした結論を導く高村さんの論稿を掲載するとは

朝日新聞、 かなり思い切った決断をしたものだ

僕自身、 高村さんに賛成である!!

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