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2009年10月 2日 (金)

プチ思想ブームの実像

2009年9月26日付 朝日新聞 朝刊、 文化面

プチ思想ブームの実像は

という記事が載った。 「文化特捜隊」―― 毎週土曜の企画だ

サブタイトルは

生き抜く技術  ノリ優先に疑問も

これは面白い記事だった

広い意味での業界関係者としては、 うなずくところが多かった

記事は ネット上でも読める (表題はちょっと変えられている)

下に切り貼りさせていただきます

【メモ】

記者は 藤生京子さん

彼女の記事は、本ブログでも何度かとりあげた

興味おありの方は、 右サイドバーのサイト内検索でどうぞ

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「プチ思想ブーム」がやってきた?

2009年9月26日

暗くて重くて難解、 そしてエラそう。 そんな印象から、 遠ざけられて久しい思想業界の周辺が、 ちょっぴり活気を帯びてきた。 思想関連の書籍がベストセラーになり、 若手論客が活躍し、 新たな学びの場も立ち上がっている。 人々に届くカジュアルな手法を模索する 「プチ思想ブーム」 の実像を探った。

<下につづく>

【宣伝】  朝日新聞、 その他の購読申し込みは こちら から 

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 昨年、 話題を集めた的場昭弘・神奈川大学教授 (経済学) の 『超訳 「資本論」』 (祥伝社新書)。 売り上げは3巻あわせて約8万部に達している。

 その的場さんが今夏出したのが 『とっさのマルクス』 (幻冬舎) だ。 「働けば働くほど奪われるもの」 (『経済学・哲学草稿』)、 「頭でっかちに溺 (おぼ) れるな」 (『ドイツ・イデオロギー』)……。 おすすめフレーズの意訳が大きくページを飾り、 「あなたを守る名言集」 とうたう。

 「ベルリンの壁崩壊後、 日本ではマルクス研究者が見事に自粛した。 若者がマルクスと出会う場を、 と思った」

 古今の思想家を知りたい、 という機運は、 マルクスに限らない。 読みやすい訳が評判の光文社古典新訳文庫は、 カント 『永遠平和のために/啓蒙とは何か』 を筆頭に、 ニーチェ、 フロイトらが人気を博す。

 「一般の人が読める訳文が提供されていなかっただけで、 読みたい人はいたんです」 と同文庫の駒井稔編集長。

 昨春、 批評家の東浩紀さん、 社会学者の北田暁大さんという30代の有力論客が編者として企画した 『思想地図』 (NHKブックス別巻) も、 3号の現在まで、 1万~1万5千部を維持している。 ナショナリズムや世代の問題も取り上げたが、 好評だったのは、 IT空間と権力、 自由の関係性を考える 「アーキテクチャ」 の特集。 保守やリベラルといった政治的色分けでは論じきれない最前線の課題を、 サブカル的な手法も含め、 様々に切り込んだ競作だった。

 受け手はどんな思いなのだろう。 若手の人文・社会科学のネットワークで、 一般読者へのメールマガジンやセミナーも開催する 「シノドス」 (芹沢一也代表)。 週末、 経済学者の飯田泰之さんの講座に7500円を払って参加したIT企業勤務の男性 (36) は 「新分野である自分の業界が、 資本主義の危機の中どう動いていくのか知りたかった」 と言う。 思想というと、 べたべたした、 価値観のぶつかりあいを思い起こして苦手だ。 困難な時代を把握する知識として、 サバイバルのための技術でありツールとして、 講座を活用したいと話す。

 一方、 「お勉強」 とは別の方向の思想の場をめざす動きも注目されている。 東京・四谷でこの夏に開講した 「くくのち学舎」。 農業や手仕事といった話題から、 資本主義や環境問題のゆくえを探る講座に、 すでにのべ400人の若者が参加した。

 宗教学者の中沢新一さんが 「舎長」 ではあるが、 企画を担うのは様々な職業に就く若者たち。 事務局を務める編集者の淵上周平さん (35) は、 ハウツーものが蔓延 (まんえん) する世相への疑問を語る。 「地球にやさしく、 といった 『良いこと』 を求めたがる風潮にも、 あらがいたい。 それ自体は否定しませんが、 結論を急いで、 覆い隠されてしまうものが多いように思うから。 踏みとどまって根っこを考え続けることが、 大切だと思います」

 どう生きるか。 迷える20~30代をターゲットに、 今月刊行が始まった 『双書Zero』 (筑摩書房)のねらいも、 そこにあるという。 若手研究者が問題に取り組んだ動機など、 「ナマの部分」 を盛り込む。 「専門知が専門知のままでないことを実践としてみせたい」 と、 編集長の石島裕之さん。

 厳しい時代を生き抜くため役に立つツールと、 実存のよりどころと。 こうした志向に下支えされたブームに対しては、 辛口の見方もある。 80年代から2000年代の思想の見取り図を描いた 『ニッポンの思想』 (講談社現代新書) がベストセラーの批評家、 佐々木敦さんは、 現在のメーンの思想状況は部数重視の市場主義が強まり、 一様になって「面白くない」と言う。

 一般向けの入門書もある仲正昌樹・金沢大学教授 (政治思想) も、 「自戒をこめて」 としつつ、 現在の 「ブーム」 で展開されている言説の中身のレベルは決して高くない、 と断じる。 思想メディアが読者の悩みや関心を聞いてあげる、 そういうサービスが欠かせなくなった時代の結果だと。

 「今の日本は本当にエリートがいなくなった。 モーツァルトが出ないと、 全体も崩壊する」

 冒頭の的場さんも、 名言集は 「ノリすぎ」 だったとも言う。 「思想は、 本質的に 『危険なもの』 ですから」。 次の著書は 『超訳 「資本論」』 の逆、 わずか13ページの 「共産党宣言」 を詳細に論じる専門家向けにする。

 思想とは何か、 その役割は? 答えは容易に出そうにない。 (藤生京子)

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