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2009年11月 4日 (水)

地方の民のはかない夢

AERA での 高村薫さん の連載 「平成雑記帳」

以前にもとり上げたが、 やはり冴えてるぞ 高村薫!

2009.11.2 号 (第113回, 69頁) のタイトルは

繁栄を仰ぎ見た地方のはかない夢の跡。

地方路線の統廃合は地方経済立て直しの一歩だ。

地方の空港と航空便路線についてのコラムでした

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地方の人たちの 「夢」 ――

土建国家の既得権益の構造に寄りそう 地方民の 「夢」 ――

この狭い日本に、 九〇もの空港があるそうだ。 どの自治体も、 初めから採算が取れないことを承知で用地取得に莫大な費用を投じ、 滑走路建設で地元の土建業者を潤し、 定期便がなくtもまずは空港ありきでやってきたこの光景は、 地元企業と政治家の無謀な利益誘導の結果と言う以前に、 繁栄を仰ぎ見た地方全体のはかない夢の跡というほかはない

ルビは省略

あらためて、 次のように問いかけられます

さてしかし、 そもそも地方空港は、 私たち住民にとってどんな存在だっただろうか。 たとえば、 繁盛していようが閑古鳥が鳴いていようが、 離発着の安全性と騒音の関係で、 周囲の開発ができない困った代物ではなかったか。 空港のおかげで周辺地域は住宅地になれず、 商業圏にも観光地にもなれない。 都市部ならせいぜい工場地帯か倉庫街。 地方なら、 離れた観光地へ通じる道路をつくるぐらいだろう。 羽田も成田も、 空港自体は繁盛しているが、 周辺は商業圏にさえなっていない。 空港は出来たものの、 利用客や航空会社が地元に落とすお金は少なく、 将来の開発もできないとなれば、 地元の住民はむしろ体よく土地を奪われているだけではないか

続きはこうなります

これから地方が地場産業で立ってゆくとき、 道路と鉄道があれば十分ではないか。 今世紀末には人口が半減するこの国で、 地方都市間を定期便が盛んに飛び交うという想像は難しい。 …… あれば便利な飛行機だが、 ほかにも移動手段が揃っている国内で、 地元の住民が頻繁に使うわけでもない空港を、 どうして借金をしてまで抱えていなければならないものか

ルビは省略

最後の結論は 田舎出身の僕には まったく納得できます

空港という棚の上のぶどうは、 地方が手に採るときには酸っぱい実になっている。 地方はそろそろ夢から覚め、 みんなで早めに損失の処理を考えるときである

「夢からさめ」 ること!

田舎に行くと 若い人たちもまだ この 「夢」 からさめていない

物理インフラが 自動的に お金を落とすという幻想――

それしか 《成長》 の道がない、 という思い込み――

《成長》 とは何か 根底からの反省をさまたげる劣等感――

問題は 心理的機制により規定されるところが大きい

だから 難しい

でも やらなくちゃ! 目覚めなきゃ!

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コメント

こんにちは。
拝見させていただいております。
田舎に住む者です。

『田舎に行くと 若い人たちもまだ この 「夢」 からさめていない

物理インフラが 自動的に お金を落とすという幻想――

それしか 《成長》 の道がない、 という思い込み――

《成長》 とは何か 根底からの反省をさまたげる劣等感――』

そんなに田舎に住む人々は、若い者も含めて愚かでしょうか。

mika さん>

コメント ありがとうございます

走り書きで バチャバチャっと書きますね
乱文 どうぞご容赦のうえ、 さらにご意見をお聞かせくださいませ

=====

まずは 僕も 《ど田舎》 出身者であることを ご承知おきください
今は 東京、 関東圏に生活の場をうつしましたが
(今の住まいは松戸市です。 ここは 大いなる田舎です)
根っこは もぉ明らかに 田舎者です
つまり、 《ふるさと》 への哀愁と 《イナカ》 への嫌悪――
その両方がある、 ということです

今では僕は 田舎を代表して語ることができなくなってしまいましたが
それでも 僕の出身地の雰囲気は なんとなく分かります

=====

二つ 申し上げます

1)
若い人たちは 変わりつつある
30代半ば以下の人たちが 希望だと思っています
僕自身 40代前半ですが、 この年代は バブル後遺症といいますか
個々人は別にして 世代としては まだまだ抜けきっていません
とにかく 30代半ば以下の人たち――
ここには 希望を感じることがあります

2)
頭ではわかっていても… という点がある
田舎の方たちと話していると、 問題点やすべきことを ちゃんと分かっている
バカでは 決してない 言葉にして 説明できる
しかも それが とても的を射ている
しかし
実生活になると、 それが徹底されない
土建中心の公共事業が削減されるとなると、 理想論や未来ヴィジョンは
どうしても弱まっていく
県知事たちの動きが その象徴です
今後、 公共事業の見直しがすすむほど、 地方票は自民党にもどっていくでしょう
実際の経済構造が 公共事業に 完全に頼ってますから
(中小企業の営業実態、 若者の就職先から パチンコ、 水商売まで)
それはもう どうしようもないよなぁ、 といつも思います
目先の 《現実》 の重さは どうしようもありませんから

=====

だから 若い人たちに期待なのです

子育てをまだ始めていない人たち (生活にまだ追われていない人たち)
しきたりや慣習や 人づきあいにからめとられていない人たち

コトバだけではなく 経済基盤の創設、 価値観の大胆な転換――
そうしたことを 若い人たちに やってほしいなぁ、 と
つくづく思います

もちろん おじいさん、 おばあさんを捨てちまえ! ではありません
上の世代を一緒に巻き込むほどのエネルギーを
地方から発揮してほしい、 と切に思うのです

繰り返しますが、 それが今 皆無だ、 とは申しません
しかし、 まだ足りないし、 時代の動きのほうが速い

そんなところなんですが、 いかがでしょうか

こんにちは。
コメントありがとうございます。

私も先生と同じ1967年生まれですので、抜けきってない世代なのだと思います。

この度の政権交代での「コンクリートから人へ」に象徴されるように公共事業のありかたが問われております。今後の地方のありかたも同時に問われております。AERAの高村薫さんのコラムも地方への提言として受け止めました。ただあまり現状認識は正確ではないような気がします。現実は報道される県知事などの動きより、現場の市民県民は、箱もの・道路などの公共事業に対しては冷めた見方をしています。現実に選挙民は、無駄な公共事業をなくし生活中心にシフトします!といった民主党を支持しました。私は長く選挙に関わっているので(このたびの選挙でも1000軒以上のお宅や企業を訪問しました)、土建業者が選挙に関わらなくなってきているのを目の当たりにしておりますし、市民の声は変らなければならない!でした。
物理的インフラしか成長の道がないとは多くの人は思ってはいませんが、他の道がわからないというのが現実だと思います。
しかし(高齢化が急速に進む地域で多いのですが)一番恐ろしいのはインフラさえももうどうでもいい、ましてや新しいことなんて無理無理!という「あきらめ」です。

私の住む新潟県は言わずと知れた農業県ですが、このたびの選挙で農業従事者の6割以上が民主党に投票しました。これはもちろん自民党の過去の農業政策への嫌悪があるのでしょうが、後継者のいない農業従事者がもはや農業をお金を生む産業として捉えておらず、医療や年金などの社会保障を投票行動の核にしたと思います(そういう声を多く聴きました。)。10年前の農業従事者の平均年齢が55歳、10年経った今は65歳という現状では当たり前のことかもしれませんが。

おっしゃるとおり、地方が大胆な価値観の転換をはかり、新しい財政基盤を創り出していくことがとても大事です。私も若い人たちに大いに期待しております。そのためにはどうしていったらいいのか?良い知恵をお与えください。


mika さん>

再コメント ありがとうございます

選挙にずっと関わっていらっしゃるのですね
現状認識は 実に的確なものと お察しいたします
大変勉強になりますです m(_ _)m

高村さんにしろ 僕にしろ やはり東京の立場が強く出すぎていますね
mika さんのコメントを読んで、 そう痛感しました
もちろん 僕は 精いっぱい地方(その多様性が問題ですが)のことを
そこにできるだけ寄り添って 理解しようとしているんですが・・・

お返事を書いていたら すっかり長くなってしまいました

内容もとても重要だと思いましたので
本編のほうに 別記事としてあげてみることにしました

何とか今日中にあげようと思います
お手数ですが、 あらためて ご訪問いただけますよう お願いいたします

後ほど

 近藤先生からのお返事はおそらく私とは別目線だと思われますので、私も自分の考えていることを少しお話させてください。

 先日、地方分権改革推進委員会による地方税財政改革を提言する第4時改革の原案が出されました。
 もちろん「地域間格差の是正」を図る内容です。
 9日には正式に決定されるのではと言われています。

 政府『地方主権戦略局』も発足され、国と地方の税源配分を現行の6対4から5対5になる見込みです。

 さて、この内容を地方で実際に行政に携わる人たちは手放しで喜んでいいのでしょうか。
 問題は、この金がどのように使われるかということですが、国(政府)は地方移管したのだから地方に任せるという姿勢を取るでしょう。しかも、移管後はその事業に携わっていた国家公務員は削減し、財源確保に回すといった内容がマニフェストにあったように思えるので、完全に地方が独自の方法による自治を模索しなければならないようになるでしょう。
 私には無責任に思える政策ですが、そういう政府を選んだのだから文句は言えません。しかも、今この時期に独立した地方自治を確立していく意味は日本の将来にとってはとても大きいのです。
 (このあたりは、地方移管の必要性についてのたくさんの研究結果がでていますね。さしあたって私が思いつくのは井堀利宏先生です。)

 さて、このような政治が行われた場合、地方はどのようになっていくのか。

 もちろん、きちんと考えて金を使ったところは住み良い自治体、そうでないところはそうでない自治体と、自治体間の格差ができるであろうと私は考えています。国は地方債の発行を地方に任せる方針ですから、借金まみれになるところも出てしまうでしょう。
 しかし、責任は地方に移管したのですから、直接的に住民によって果たされなければなりません。

 国が地方自治にどのような関与をすべきかは、今後おいおい話し合われていくでしょうから、私がここでお話していることは極端な例かもしれません。しかし、私たちは自分たちがどのような政府を選んだのか、今後4年間できちんと知ることになるでしょう。


 さて、地方は今まで国におんぶにだっこだったのか。

 私はそんなことはないと思います。何より、地方でもきちんとやっていける実績を作られているところが、たくさんあるからです。

 例えば、私は昨年度まで日本商工会議所というところで働かせていただいておりましたので、地方の中小企業の経営者の皆さんの努力というのも少しは垣間見ることができました。それはもう、自社の繁栄もさることながら、地元の繁栄を願って、幾度も幾度も東京の事務所を訪れては、経営に対する模索をされていました。
 身近な例を申しますと、ジャパンブランドというのがあります。国の補助金で21世紀グローバル競争に勝ち残れる中小企業の海外進出をバックアップするといった事業です。この事業に参加するには非常に難しい審査と、その後の努力も必要なわけですが、新潟県では三条と燕の商工会議所さんが参加されています。
 そのほかにも、こんなに大きな事業でなく、いろいろな事業に参加し、補助金や賞を獲得されて、こんな世の中でもがんばって実績をあげていらっしゃる中小企業やその基盤になる商工会議所があります。
(ぜひ、日本商工会議所会報誌『石垣』を読んでみてください:宣伝)

 また、農業でも、勝ち残れる農業をめざし努力されているところがたくさんあります。
 茨城県の「みずほの村市場」は有名ですよね。高くてもおいしくて安全な農産物を作って売る。農業従事者にも自力で増収を見込めるシステムを構築する。

 売れる農産物の生産方法を模索する、という観点で言えば「NPO 日本GAP協会」の活動も注目されるべきだと思います。

 行政もボケっとしていられませんから、山形県なんかは新農業推進課(県産米ブランド戦略室)なんていうので生き残りを図っている。

 
 これらを見て、何を思われましたか。
 私はいつもこんなことをできるマンパワーってすごいなぁと思うのです。
 明らかに今の世の中は地方に不利に作られています。それをはねのけ、逆に追い風にしてやっていこうとする人の力。私はいつもいつもいろいろな先生からそんなことを教えられます。
 そして、先ほども書きましたが、このような努力がなされない自治体は今後は本当に先が見えなくなってしまう。
 たぶん、近藤先生がおしゃりたいことはそんな危機感からきていることなんじゃないでしょうか。

 具体的に私が国がやるべきこととして、地方に責任を委譲する前に、明るい将来が見られるビジョンが必要だと考えています。
 おっしゃるとおり、自分たちがどうしたらよいかわからない、と考えるところが多いだろうし、実際途方に暮れてしまうだろうと。
 そんなケアは絶対的に国がすべきです。どうしたら将来が見渡せるか、参考になる先行事例はあるのか。それでは、自分たちの環境に適合した事例はどれなのか。そんな手助けをすることこそが、行政の役割となるはずです。それには、地方の自治体の職員に対して、勉強できるような研修制度を整備する必要がありますし、相談窓口はもちろんなくてはならないものです。
 そんな見通しが政府にできるか、また国の行政に携わる者はその必要性を訴えられるのか。今のところの私の政府に対する評価はそこにかかっています。

 

yokosawa さん>

コメント ありがとうございます

次の次の便で書きますが、 地方がのきなみ全てダメなんてことは
もちろん! ない! ですね

東京のカジノ資本主義で ふわふわやっている連中を
腐るほど見てきた僕としては 地に足のついた経済基盤を創出した
そんな地方の成功事例を 大変 誇りに思ってみております

問題は… 

せっかく 本エントリに書こうと思っておりますので
ここでは 書かないでおきますね

ぜひ、 そちらでも コメントなどいただければ うれしいです

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