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2010年1月22日 (金)

感動を生みだすもの、 あるいはヴァナキュラーなもの/不均質なもの/入れ替え不能なもの/計算不能なもの/コミットに値するもの (2/2)

前便 「感動を生みだすもの、 あるいはヴァナキュラーなもの/不均質なもの/入れ替え不能なもの/計算不能なもの/コミットに値するもの (1/2)」 より つづく

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  • 神成淳司 + 宮台真司 『計算不可能性を設計する: ITアーキテクトの未来への挑戦』 (ウェイツ, 2007年4月)

前便 よりのつづき、 さっそく

宮台真司先生 のコトバを

思い切って長く引用させていただきます

 確かに 〈生活世界〉 はローカリティに満ち、 標準化されたフォーマットを持たないので、 集権的視座から見ると計算可能性が低い。 実際に維新期以降の日本政府は、 田吾作をムラから引きずり出して学校教育を通じて国民化し、 ヴァナキュラーな (その地方特有の) 自立的相互扶助を壊滅させて集権的再配分に従属させてきました。

 田吾作側から見ると、 〈生活世界〉 を生きる 「我々」 が豊かで幸せになるべく、 国民化&集権化という 〈システム〉 を甘んじて受容しました。 ところが三〇年前から、 ポストモダン化=汎 〈システム〉 化= 〈生活世界〉 空洞化が、 進展します。 「我々」 が解体した結果、 〈システム〉 の正統性が危機に陥るわけです。

 〈生活世界〉 が消えれば、 資本制や民主制の外部性をなす 「良きもの」 が消えます。 人々が帰る場所を失って感情的安全を脅かされます。 まともな感情プログラムとは何かの尺度が消え、 まともな感情プログラムをインストールされた成員の再生産も滞る結果、 〈システム〉 はますますこうした人格性とは無縁に回るようになります。

 私はソーシャルデザイナーとして 〈生活世界〉 の再帰的な復活を企図します。 だから本書にかかわっていますし、 そうしたテレビ番組の原案や企画も出しています。 再帰的とは、 無自覚な選択前提をも自覚するという意味です。 〈システム〉 から見て計算不可能な 〈生活世界〉 をシステム理論家として設計しようとしています。

 ヴァナキュラーなもの、 不均質なもの、 入れ替え不能なもの、 計算不能なもの、 コミットに値するもの、 再帰的な護持です。 そうした 〈生活世界〉 の再帰的構築のために ―― 〈システム〉 側から 〈システム〉 の補完物として設計するために ―― 従来 〈システム〉 化の先兵だったコンピューティング・テクノロジーを使いたいのです。

神成 ● それは、 是非使うべきだと思います。

258-9頁

《感動を生みだす》 ことができるのは 

ヴァナキュラーなもの

不均質なもの

入れ替え不能なもの

計算不能なもの だけなのである

したがって、 それだけが 《コミットメントに値する》

しかし それは、 近代の合理化の過程で 大きく損なわれたか

あるいは もはや失われてしまった

だからこそ 《再帰的に》 つまり 《自覚的・反省的に》 それを 《護持する》

そうした決意と技法がもとめられる、というのである

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