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2010年1月27日 (水)

日本社会のどこかに隠れたボタン

前便 「負担免除と自由― 「負担免除と自由― 「社会をハッキング」とまで言うなら (2/2)」 より つづく

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この本からの引用 たくさんやってきました

本便で最後になります

お付き合いありがとうございました (=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

  • 神成淳司 + 宮台真司 『計算不可能性を設計する: ITアーキテクトの未来への挑戦』 (ウェイツ, 2007年4月)

宮台先生の発言から またも長い引用をさせていただきます

 キーワードはマンハイムが言う意味での全体性です。 かつての官僚エリートは全体性に近づけました。 東大法学部卒のキャリア官僚は、 学生時代は社会正義に燃えつつも青かったのが、 政治家をも振り付ける日本独自の行政官僚システムの中で成長し、 世の中のボタンをどう押せば何が起こるかに通暁しました。

 ノーパンしゃぶしゃぶ的な大蔵官僚や、 ヤクザに袖の下を要求する警察官僚もいましたが、 押すべきボタンにはアングラなものもあるので、 全体性という観点からはどうってことない ―― と言えるためには (笑)、 しかし二つ条件がありました。 全体性の見通しやすさという認知面と、 全体性を担う倫理的気概という規範面です。

 ところが 〈システム〉 が 〈生活世界〉 を覆う近代成熟期 (ポストモダン) になると条件充足が難しくなります。 ヤクザの子どもとごちゃまぜになりつつ遊んだ私の子ども時代というものは、 〈生活世界〉 が空洞化すればあり得ません。 社会的透明性を要求する経済のグローバル化も、 汎 〈システム〉 化を押し出しました。

 逆説的ですが、 〈生活世界〉 が空洞化して 〈システム〉 への一元化が進んだからこそ、 全体性の見通しが立たなくなりました。 なぜなら日本を問わずどんなに 〈システム〉 化 ―― 役割&マニュアル化 ―― が進んでも、 裏側には役割&マニュアルに還元できない人格的関係があるからです。 若い世代にはそれが見えないのです。

 実効的なアーキテクチャを地域社会や地域行政に提案・納入してこられた神成さんも、 これまで成功していらっしゃったということは、 郊外ニュータウンで育ってきた若い世代には見えない、 ヤクザを含めたアングラな人格関係の存在をよくご存じのはずです。 無論、 性のフィールドワークをしてきた私は通暁しています。

 そんな 「逆風」 の中で若い世代から市民エリートを育てなければならない。 官僚エリートや財界エリートをの養成よりも難題です。 コンピューティングは別にしても、 基礎的な法律文書リテラシーを持つ ―― 法案を見て官僚の隠された意図がわかる ―― 市民エリートは、 先進各国のどこよりも希薄にしか存在しないからです。

 だからこそ、 コンピュテーションや電子ネットワーク化の流れを 「追い風」 にして、 社会的全体性を参照できるクオリファイされた (関門突破してきた) アーキテクトを、 あくまで市民エリートとして育成しようとする。 それが神成さんが教えるSFC [慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス: 引用者注] が、 神成さんご自身に期待していることだと推測しています。

 私もSFCでレクチャーしたことがあります。 学生さんや大学院生さんと話すと、 志のある優秀な人材が多いと感じます。 でも私たちがいまここで片鱗だけ紹介してきた問題を意識化している者はごくわずかです。 むろん 〈システム〉 の建前しか知らない彼らは、 社会のどこにどんなボタンが隠れているのかを知りません。

 社会全体性から隔離され過ぎているのです。 全体性にかかわる免疫がなさ過ぎるのです。 「NGOに入ってケニアやタンザニアでこういう活動をした」 という学生はワンサカいます。 それだけでは市民エリートとしてクオリファイされません。 この日本社会のどこにどんなボタンが隠れているのか知らなければならないのです。

 東大や慶大にいるエリートの卵たちの 「自信のなさ」 の一端は、 そこにあるのではないかと思います。 日本には官界がある。 政界がある。 財界がある。 闇世界がある。 汎 〈システム〉 化が進んだ社会で育ってきた君たちの作法が、 どこにどれだけ通用するか考えたことがあるか。 そういうとSFCの教室は静まりかえります。

282-5頁

この論点については

感動を生みだすもの、 あるいはヴァナキュラーなもの/不均質なもの/入れ替え不能なもの/計算不能なもの/コミットに値するもの

という 長ったらしいタイトルをつけた二つのエントリ

もご参照ください

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あらためて お付き合い ありがとうございました m(_ _)m

<連続投稿 おわり>

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