宋学の西遷
<買う本>
朝日新聞の書評 (2010年2月21日付) で知った
(評者は 苅部直先生)
面白そうなので、 ぜひ読みたい
ただ 高い! ¥ 8,190!
- 井川義次 『宋学の西遷: 近代啓蒙への道』 (人文書院, 2009年12月, ¥ 8,190)
人文書院のサイト より
内容紹介
ヨーロッパ近代啓蒙思想に刻印された宋明理学
16世紀から18世紀にかけてのイエズス会士による中国思想情報は、 近代ヨーロッパ理性の形成においてきわめて大きな役割をはたしていた。 本書では、 ルイ14世の後押しをうけた宣教師クプレ、 人文主義者ノエルによる儒教文献のラテン語訳を、 中国語原典と丹念に照らし合わせて実証する。 実は、 宋明の儒教のうちには、 神の 「要請」 なしに理性の自律的な純粋作用が存立しうること、 当時ドイツ啓蒙のリーダーであったヴォルフの理想に照応しうる理念が、 先在・潜在していた。 さらに彼はフリードリッヒ大王から敬意をうけ、 ライプニッツとカントをつなぐ人物でもあった。 中国思想に影響をうけたヴォルフの哲学は、 啓蒙理性の時代の知識人に広く感染流行し、 近代啓蒙のプロトタイプとなる。 儒教思想のヨーロッパ受容を、 厳密なテクストクリティークによって検証する労作。
引用おわり
苅部先生の書評には 次のような解説がある
以下引用
たとえば、 明治日本の知識人が西欧の近代思想に魅せられたのも、 一面では、 それがすでに儒学と似ていたからでもあった。 「和魂洋才」 とか 「脱亜入欧」 とかいった文句でわりきれる営みではなかったのである。
こうした思想の東西交渉史については、 すでに戦前から研究の蓄積があるが、 ラテン語と古典中国語の双方をここまで駆使し、 哲学理論の細部にふみこんだ仕事は珍しい。 引用史料にはていねいな翻訳と解説が施されているので、 一般の読者にも近づきやすいだろう。 […]
引用おわり
【100223 追記】 こちらの書評、 ネット上で読めるようになりました
この解説を読んでいたら
金光大神のあの合理性はどこから…
と かつて 島薗進師匠 に質問したら
石門心学とかあるからね
と “そんなの当然、 コンドー君 知らないの” ばりの
ご教授をいただいたのを思い出した
いやはや… お恥ずかしい思い出です
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最後に 人文書院のサイト より
目次
序章
第一部 クプレ『中国の哲学者孔子』の中国哲学観
第一章 『中国の哲学者孔子』「序説」について
はじめに
第一節 真なる神と理性の光
第二節 張居正―クプレの古典理解のメルクマール―
第三節 『易』解釈―「謙」卦をめぐる有神論性の主張―
第二章『中国の哲学者孔子』の儒教古典解釈
はじめに
第一節 理性・博愛・最高善―『大学』の三綱領の翻訳―
第二節 平天下と理性―『大学』の八條目―
第三節 性理と理性―『中庸』の「天命」と「性」―
第四節 「霊」の実在―『中庸』の鬼神―
第五節 理性認識の書―クプレの『論語』解釈―
第二部 ノエル『中華帝国の六古典』の儒教倫理称揚
.
第三章 『中華帝国の六古典』の儒教古典解釈(Ⅰ)
はじめに
第一節 ノエルと『大学』―朱子学の受容と解釈―
第二節 物理と知性を貫くRatio―「格物補伝」―
第三節 理性と天命
第四章『中華帝国の六古典』の儒教古典解釈(Ⅱ)
はじめに
第一節 天道と死―『論語』をめぐって―
第二節 性善と民本と革命と―『孟子』をめぐって―
第三節 「孝」の宇宙論―『孝経』をめぐって―
第三部 ヴォルフ――ヨーロッパ啓蒙への儒教のインパクト
第五章 『中国実践哲学講演』(Ⅰ)
はじめに
第一節 ヴォルフと中国哲学の周辺
第二節 ヴォルフの孔子評価
第三節 ヴォルフの「天」―脱宗教的宇宙法則―
第四節 中国哲学の原理―試金石
第六章 『中国実践哲学講演』(Ⅱ)
第一節 『大学』
第二節 実践哲学の実例としての中国
第三節 日新の工夫―不断の前進―
第四節 最高善か完成か―継続の優位―
第五節 ヴォルフの見る中国哲学の宇宙構造論
終章
あとがき
引用おわり
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