よい作家になりたいです。 人や世界を愛したいです
前便 「どれほど苦しくて惨めで寂しくとも」 より つづく
====================
- 田中ユタカ 『愛人-AI・REN- 上 特別愛蔵版』
- 田中ユタカ 『愛人-AI・REN- 下 特別愛蔵版』
前便 での引用 最終段落を再録いたします
どれほど苦しくて惨めで寂しくとも半歩間違えれば一生を役立たずのまま棒に振ることになろうとも自分で罪を背負って自分のしあわせは自分の現実は生きることの意味は自分で決めていかなければならない。 ボクもボクのマンガを読んでくれる人もそうやって今日生きている。
上巻 「愛 [AI-REN] 人2巻のためのあとがき」 468頁
この 《生》 から どこへと走り抜けうるのか
逃走でも 差異のたわむれでもない、 しかして
たしかに十二分に再帰的で それでいて生きるに足る 《生》
主客二元論の罠にからめとられないようにして
それでも 「確かだ!」 と肯定しうる そのような 《生》――
それは どのようなものとして ありうるのでしょうか
作品 『愛人 [AI-REN]』 の全体が まさにその答えですが
作者 田中ユタカさん の 「あとがき」 の中のコトバも
もうひとつの見事な答えになっています
40歳を過ぎて、 自分の人生が一回きりの有限なものであることがリアルな感触をもって急速にくっきりと感じられるようになってきました。
永遠に生きたいと願う気持ちは湧いてきません。
ただ、 自分に許された時間を大事に生きたいという気持ちが強くなりました。
よい作家になりたいです。
人や世界を愛したいです。
きちんと生きようと思います。
きちんと生きて、
出来る限り、 最後まで長生きしようと思います。
僕は一生をかけて少しでも良い作家になりたいと思います。
そのことに人生を使おうと思います。
下巻 「あとがき」 607頁
「2008年12月」 の日付があります
2009年2月刊行の 『愛蔵版』 への 「あとがき」 のようですね
====================
一篇の “詩” である この 「あとがき」 は
『愛人 [AI-REN]』 という作品と格闘し
キャラクターたちの 《生・愛・死》 を 誰よりも近いところで眺め
そこから “教え” られた 田中さんが至った
ある真理であるのは 疑いがないわけであります
« Paradise Lost @ 音楽図鑑 (坂本龍一) | トップページ | 「恋人の聖地」 における聖性の観念 »
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- [ワークショップ] オタクにとって聖なるものとは何か(2016.02.27)
- 3/3 「藝術の宗教学」研究会 映画部門(関東)第2回研究会 『崖の上のポニョ』を観る(2013.02.21)
- 斎藤環 『戦闘美少女の精神分析』 より(2010.11.30)
- よい作家になりたいです。 人や世界を愛したいです(2010.02.10)
- どれほど苦しくて惨めで寂しくとも(2010.02.09)
「01A 宗教学」カテゴリの記事
- 20世紀における「反近代」の変容(2016.02.24)
- 島薗進 『ポストモダンの新宗教』 (2001)(2016.02.17)
- [ワークショップ] オタクにとって聖なるものとは何か(2016.02.27)
- ヒンドゥーの霊的原初主義(2015.12.17)
- 映画上映会 『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(2015.11.11)
「03A 思索」カテゴリの記事
- クザーヌスのお勉強(2015.07.21)
- 儒学を入れるしかなかった近世神道、そして尊皇倒幕へ(2015.05.04)
- 日本教における自然(2015.05.01)
- 日本教的ファンダメンタリズムの大成者(2015.04.29)
- 路上の神様―祈り(2014.11.30)
「01E 宗教学の積極的解体」カテゴリの記事
- 宗教者と無神論者の双方に関わる問題、あるいは信への転回(2015.06.01)
- 世間とは何か(2015.05.07)
- 宗教学名著選 刊行開始(2014.11.14)
- 放送大学の受講生の皆さんへ ※ 面接授業「現代宗教論」(2011.12.21)
- 【講座】 現代宗教論(2011.10.26)
この記事へのコメントは終了しました。
« Paradise Lost @ 音楽図鑑 (坂本龍一) | トップページ | 「恋人の聖地」 における聖性の観念 »
コメント