【研究会】 イギリス・オリエンタリストと 《神秘のインド》 観
南アジア研究系ML 「SAAF」 に流したもの
再録させていただきます
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昨日 (2010年2月13日)、 日本女子大学にて、 第35回南アジア月例懇話会を開催しました。今回は、 「《神秘のインド》 研究会」(代表: 近藤光博) の第2回研究会との共催でした。 冨澤かなさん (東京大学) に、 「イギリス・オリエンタリストと 《神秘のインド》 観」と 題してご発表いただきました。
《神秘のインド》 研究会の側より2名、 南アジア月例懇話会側より10名の参加者があり、 その内PDもしくは学生の方々は8名 (初参加者2名!) と、 本懇話会の目標を十分に満たすものでした。 あらためて、 ご発表者、 参加者の皆さんに、 御礼申し上げます。
冨澤さんの発表では、 18世紀末のイギリス・オリエンタリスト、 とくにウィリアム・ジョーンズとエドムンド・バークの思想に見られるインド観を、 《神秘》 概念にからめて分析するものでした。 ハンドアウトの章立ては以下の通りです。
- 神秘とは
- 理性と神秘とオリエント
- 18世紀末イギリス・オリエンタリストのインド観と宗教観
- イギリス保守主義の文化観
- 神秘と理性: オリエンタリストの 「宗教」 の範囲と位置付け
- 普遍性と固有性
ご発表では現代にいたるインド観が、 18世紀末のイギリスで芽生えていたことが、 バークの思想を中心に十分に確認できるものでした。 また、 バークから抽出される 「偏見/先見」(prejudice) という独自の概念の重要性が指摘されました。
冨澤さんの関心が、 他者理解・他者交渉といった、 かなり普遍的な枠組みであるところに、 コメント等が多く寄せられました。 この時期のイギリスについて、 多くの参加者が専門外であり、 非常に勉強になったとの感想が多く聞かれ、 英文学の先生 (佐藤和哉氏) や人類学の先生 (関根康正氏) などのご参加により、 議論がより充実したものとなりました。
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