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2010年3月21日 (日)

地域的限定性と一般理論

  • マルセル・ゴーシェ 『民主主義と宗教』 (伊達聖伸+藤田尚志訳, トランスビュー, 2010年2月)

大変な力作、 かつきわめて重要な本だと思う

批判もまたたやすい本だと思う

しかし、 この本については 批判してよしとすべきでない

と、 僕は主張したい

訳者の伊達さんが いみじくも 「後出しジャンケン」

を禁じたように、 どんな批判もそうだが

ゴーシェのこの本についてもやはり

外在的な批判をつつしんでいただきたい、 と思う

内在的批判のポイントのひとつは、 この作品が

《フランス》 地域の限定性を相対化しきれていない、 ということ

歴史社会学として 理論への傾倒が強いからなわけだが

もっとスッキリと 《フランス》 地域研究の成果です! と

ゴーシェ自身が言ってしまった方が かえってよかったのではないか

一例を示す

ある段落を引用するが、 試みに

  • 「宗教」 ⇒ 《カソリシズム》 (フランス・カトリック教会と、その影響圏)
  • 「政治」 ⇒ 《フランス民主制》 (近代フランスの政治体制の連続体)

というように 語変換をしてみる

 《カソリシズム》 が 《フランス民主制》 の内部に取り込まれることで、 大部分はそれと目立たないものではあるが、 甚大な影響を蒙ったのは、 そう昔のことではない。 おそらく、 神について、 それから神と人間の関係について、 あらゆる可能な考察を行なう基礎神学の面での影響が特に大きかった。 この過程で 《フランス民主制》 は、 《カソリシズム》 を自分のものにした。 《カソリシズム》 には人間の運命について包括的な理解を提示する力があるが、 《フランス民主制》 は 《カソリシズム》 のこの面を利用することで、 さらに前へと進んだ。 《フランス民主制》 は 《カソリシズム》 に威厳を与え、 それを際立たせる。 《フランス民主制》 は、 《カソリシズム》 をアイデンティティに関わるものとして文化に還元せず、 その意味で 《カソリシズム》 を社会的に救い出している。 《カソリシズム》 は、 単なる文化が有する伝統や慣習・儀礼を超えて、 本質的なメッセージを伝えることができるからで、 《フランス民主制》 はこの点に注目している。 さらに 《フランス民主制》 は、 《カソリシズム》 には精神的な広がりや奥行きがあることを公の場で理解させるなど、 《カソリシズム》 を根底から活気づけている。

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こうした記述を 「宗教」 と 「政治」 という語で論じられてしまうと

かえっていろいろな反発や誤解を招くことになろう

たとえば、 インドや日本に このような政教関係の歴史を

あてはめることができないのは明らかだ、 といった具合にである

しかし、 このようなことを指摘する僕のねらいは

いくつかのかなり重大な欠点にもかかわらず

この研究は 大変すごい、 ということなのである

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01B 宗教政治学」カテゴリの記事

コメント

これを置き換えて読むと分り易い、という指摘はよく書評でなされることがありますが
それをこういう場で具体的に字面で示して頂くと、非常に分り易く感じました。

馨子さん>

分かりやすい、とのコメント ありがとうございます

地味ぃなブログですが、そうしてお役に立てば、やりがいがありますです

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