宗教的な装置はその機能を失い、もはや修復不可能である
長々とやってきました
- マルセル・ゴーシェ 『民主主義と宗教』 (伊達聖伸+藤田尚志訳, トランスビュー, 2010年2月)
に関する連投――
本便で 一応の区切りとさせていただきます
お付き合い ありがとうございました
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ゴーシェのこの本は 彼の研究活動の
ひとつの集大成、 というかそのコンサイスな全体像
という位置づけがどうやらできるそうなので (たしか訳者談)
結論にあたるものがあるわけではない
この本が 全体として ひとつの結論になっている
と 言った方がよいのだろう
それでも、 ゴーシェの語りの要点みたいなところは
いくつか散見されるわけであり、 私見によれば
そのうちの一つが 100-103頁 にある!
そこで言われているのは こういうことだ――
====================
諸宗教は 完全に 民主主義へと統合された
↓
民主主義にとってそれは、 対抗相手がもはやいないということ
<根源の枯渇>
↓
これにより今や 「信じうることが根本からずれる」 ことになっている
<実質的な内容の衰退>
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この図式は 《世俗化》 論のそれと大差ない
しかし、 それを 政治学と心理学の知見のなかで
ひとつの大きな枠組みに仕立て上げたところが 凄い!
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