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2011年2月21日 (月)

映画館が観客にもたらす唯一最大の効果

  • 加藤幹郎 『映画とは何か』 (みすず書房, 2001年) より

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以下引用

[…] しかしスクリーンを突き破る観客が登場するこの 『田舎者とシネマトグラフ』 The Countryman and Cinematograph, ロバート・ポール, 1901] をいかにも映画揺籃期にありそうな映画として片づけることは厳に慎まなければならない。 なぜならこのフィルムは、 それ以降につづく、 『キートンの探偵学入門』 Sherlock Junior (バスター・キートン, 1924)、 『カラビニエ』 Les Carabibiers (ジャン=リュック・ゴダール, 1963)、 『カイロの紫のバラ』 The Purple Rose of Cairo (ウッディ・アレン, 1985)、 『ラスト・アクション・ヒーロー』 The Last Action Hero (ジョン・マクティアナン, 1993) といった映画館の観客を自己言及的に素描するフィルムの起源と目しうるフィルムだからであり、そしてこの系列でなによりも問題となっているのは、 スクリーンと現実の境界を認知しようとしない田舎者 (虚構の観客) を笑いとばし、 そのことによって都会の (現実の) 観客 (この 『田舎者とシネマトグラフ』 を観ている観客)が優越感にひたることにあるのではなく、 そもそも幻想と現実の間の障壁を積極的に破壊することにこそ映画館最大の関心があるということを、 わたしたちに再認識させることにあるからである。 スクリーンの向こう側に現実の空間がひかえ、 もしかしたらそこを列車が走っているのではないかという疑念からぬけだせないからというよりも、 むしろスクリーン上に巨大な蒸気機関車が疾走していれば、 ただそれだけでその躍動感に圧倒されてしまうナイーヴな観客は、 やがて席を立ち、 舞台にあがりこんでスクリーンを突き破り、 こちら側から向こう側へと旅発とうとする。 観客席からスクリーンの向こうへの、 素朴だが御しがたいこの移動の衝動こそ、 映画館が観客にもたらす唯一最大の効果にほかならない。

引用おわり: 131頁 脚注省略

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