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2011年4月10日 (日)

ジャンル・ホラーの歴史、 あるいは甦る「ディオダディ荘の怪奇談義」

前便 「アメリカ映画があれほど大量のホラー映画を生産しつづける理由」

その最後に指摘したのは、 ジャンル・ホラーの歴史ということでした

その点について 中条省平先生の解説をご紹介します

  • 浅草キッド/中条省平 『浅草映画研究会』 (廣済堂あかつき, 2009年12月)

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以下引用

中条  それと、 ゴシック的な美学が 『吸血鬼ドラキュラ』[1957年/イギリス 後述するハマー・フィルムの代表作のひとつ] とともに完全に映画の財産になった気がしますね。 それ以前にも吸血鬼ものはヨーロッパでも撮られていて、 サイレント時代にドイツ表現主義の巨匠ムルナウが 『吸血鬼ドラキュラ』[という19世紀初頭に確立した物語 後述] を翻案して 『吸血鬼ノスフェラトゥ』[1922年/独] を撮ったり、 あるいはカール・ドライヤーというデンマークの偉大な監督も 『吸血鬼』[1932年/仏・独] という傑作を作ってます。 それからアメリカでもトッド・ブラウニングの 『魔人ドラキュラ』[1932年/米] などが撮られてはいるんですが、 どうもそれぞれの土地の風土に結びついてない。

玉袋  それってアメリカ人が四谷怪談をやっちゃうようなもんですよね。

中条  その通りです。 トビー・フーバーの 『悪魔のいけにえ』[1974年/米] みたいな、 歴史的な背景とかは関係なしにひたすら人を殺して回るストーリーだったら、 アメリカで作っても違和感はないんですけど……。

博士  あれなんかは、 ただ 「人間が怖い」 って話ですもんね。

中条  それに対して、 ドラキュラやフランケンシュタインのような作品が、 アメリカやドイツや北欧の風土にあまりうまく結びつかないのは、 どちらの物語も発祥の地がイギリスだからなんです。 その起源は18世紀の末、 ちょうどフランス革命前後にヨーロッパで巻き起こった怪談ブームにまで遡ります。 それは 「ゴシック・リバイバル」 と呼ばれたムーブメントで、 たとえば中世のお城や寺院を舞台にひたすら女性が迫害されるような物語がたくさん書かれました。

博士  そもそも、 幽霊や怪物みたいな創作物を抜きにしても、 ロンドン塔なんかリアル残酷ホラーショー満載の歴史だからね。

玉袋  もともと、 血塗られた話をするのが好きな国民なんだよなぁ。

中条  そして、 そんなゴシック・リバイバルの影響を受けて、 イギリスのバイロンという有名な詩人が、 スイスのレマン湖畔に借りていたディオダティ荘という別荘に友達を集めて怪談大会をやるんですよ。

玉袋  ほー。 イギリス版の百物語だ。

中条  そんな感じですね (笑)。 その怪談大会で披露された話を本にまとめたのが、 バイロンの主治医だったポリドリが書いた 『吸血鬼』 と、 シェリーという詩人の奥さんであるメアリー・シェリーが書いた 『フランケンシュタイン』 なんです。 だから、 1816年というまさに同じ年に 『吸血鬼』 と 『フランケンシュタイン』 がイギリス人によって生み出されたわけです。

博士  よくもまあ、 そんな話をメモも見ずにしゃべれますね……。 まるで大学教授の講義を聴いてるみたいでしたよ (笑)。

中条  それほどでもないですが (笑)。 ということで、 ハマー・フィルム [上記 『吸血鬼ドラキュラ』 など怪奇SF映画を大量に産みだしたイギリスの製作会社] が成功したのは、 英国ゴシックの美学を完全に視覚化したことで、 140年の時を越えてバイロンが行なったディオダティ荘での怪談大会の一夜を蘇らせたからといえるでしょうね。

博士&玉袋  お~~~~!

引用おわり: 264-66頁: 脚注は省略した

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中条先生のアマゾン著者ページは こちら

また、Wikipedia 「ディオダディ荘の怪奇談義」 の項目は こちら

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