【近代的な道徳秩序理解の主要な特徴】 チャールズ・テイラー『近代』 メモ#3
[近代的な道徳秩序理解の主要な特徴は、次のとおりである] (一) 相互利益の秩序は個人 (あるいは少なくともよりおおきんあ階層的な秩序からは独立した道徳的な行為者) のあいだで保たれる。 (二) 利益のなかに含まれる決定的に重要な要素は生命および生命維持の手段であるが、 ただしこれを保証することは徳の実践と関わっている。 (三) 秩序とは自由を保証することを意味し、 その表現はさまざまな権利の条件のうちに容易に見いだせる。 ここまでの要約としては異常だが、 ここにさらに第四の論点を付け加えることができる。
(四) これらの権利、 こうした自由、 このような相互利益は、 すべての参加者にたいして平等に保証されねばならない。 平等ということが正確には何を意味するかについては諸説があるだろうが、 平等が何らかのかたちで肯定されねばならないということは、 階層的な秩序が斥けられたことから引き出される当然の帰結であろう。
これら四つの論点はいずれも決定的に重要な特徴であり、 近代の道徳秩序観念にさまざまな改訂が重ねられてきたなかで、 終始一貫して繰り返し登場してきた特徴なのである。
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