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2012年6月の記事

2012年6月21日 (木)

【商業こそ政治社会が関与する最高の活動】 チャールズ・テイラー『近代』 メモ#4

 礼儀に映し出されているのは、 ヨーロッパ社会が一四〇〇年頃から経験しつつあった移行、 つまり私が先に貴族の飼い馴らしとして評者した事態である。 この新しい (あるいは新たに再生された) 理念には、 それまでに先例のない新しい生活様式が映し出されていた。 たとえば、 薔薇戦争以前のイングランドの貴族・郷紳の生活と比べてみれば、 その違いは歴然としている。 国王に奉仕する戦争のためではないかぎり、 戦闘はもはやこの階級の通常お生活様式の一部ではなくなっていた。 この過程のような事態は四世紀以上も続き、 標準的な文明国は一八〇〇年頃になってはじめて国内平和を恒常的に維持できるようになる。 この頃ようやく戦争に取って代わって商業が広く行き渡り、 商業こそ政治社会が関与する最高の ――あるいは少なくとも戦争と同じくらい卓越した―― 活動となったのである。

52頁

 

2012年6月20日 (水)

【近代的な道徳秩序理解の主要な特徴】 チャールズ・テイラー『近代』 メモ#3

[近代的な道徳秩序理解の主要な特徴は、次のとおりである] (一) 相互利益の秩序は個人 (あるいは少なくともよりおおきんあ階層的な秩序からは独立した道徳的な行為者) のあいだで保たれる。 (二) 利益のなかに含まれる決定的に重要な要素は生命および生命維持の手段であるが、 ただしこれを保証することは徳の実践と関わっている。 (三) 秩序とは自由を保証することを意味し、 その表現はさまざまな権利の条件のうちに容易に見いだせる。 ここまでの要約としては異常だが、 ここにさらに第四の論点を付け加えることができる。

 (四) これらの権利、 こうした自由、 このような相互利益は、 すべての参加者にたいして平等に保証されねばならない。 平等ということが正確には何を意味するかについては諸説があるだろうが、 平等が何らかのかたちで肯定されねばならないということは、 階層的な秩序が斥けられたことから引き出される当然の帰結であろう。

これら四つの論点はいずれも決定的に重要な特徴であり、 近代の道徳秩序観念にさまざまな改訂が重ねられてきたなかで、 終始一貫して繰り返し登場してきた特徴なのである。

30頁

 

【近代の個人主義にいたる波乱に富んだ長い道程】 チャールズ・テイラー『近代』 メモ#2

人類史のなかで人間はたいてい相互補完という様式で生活してきたし、 しかもそれは程度の違いはあれ何らかの階層秩序と結びついていた。 ポリスの市民の場合にみられるように、 平等の島というものがかつて存在したこともあるが、 しかしより大きな絵のなかに置いてみれば、 とたんにそれは階層秩序の大海に浮かぶ島にすぎないことがわかる。 こうした社会がいかに近代の個人主義とかけ離れているかはいうまでもない。 むしろ驚くべきは、 理論のレヴェルだけでなく社会的想像の変容と浸透のレヴェルにおいても、 そうした社会が紆余曲折を経ながら何とか近代の個人主義にたどり着けたことのほうである。 いまではこの想像(イマジナリー)は人類史上かつてない力をそなえた社会と結びつくまでになり、 これに抵抗しようとするのは不可能であり狂気の沙汰であるようにもみえる。 しかしだからといってわれわれは、 これがつねに真相だったという時代錯誤的な思考に陥ってはならない。

 こうした誤りを正す最良の解毒剤は、 この理論がついにわれわれの想像力(イマジネーション)をこのように把捉するまでにいたる、 波乱に富んだ長い道程のいくつかの局面を、 一つひとつあらためて思い起こすことである。

26頁 ルビは括弧内に示した

 

【道徳秩序にかんする新たな観念】 チャールズ・テイラー『近代』 メモ#1

勉強会に向けて メモ

グロティウスとロックに言及しつつ…

自然法にかんする近代的な言説が成立したのは、 もともとかなり専門的な領域だった。 つまりこの言説は当初、 政府の正統性や戦争と平和の規則について語るための言語、 成立しつつあった近代国際法の教義について語るための言語を、 哲学者や法理論家たちに与えていたのだった。 しかしその後この言説は、 他のさまざまな領域の言説に少しずつ浸透しはじめ、 それらの言説を変容させるようになる。 たとえば、 道徳秩序にかんする新たな観念が神の摂理 ――つまり神が人間たちのあいだと宇宙(コスモス)のなかに樹立した秩序―― の記述のしかたに微妙な変化をもたらし、 その記述を定式化しなおすようになる道筋などは、 その恰好の事例の一つであろう。

5頁 ルビは括弧内に示した

 
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