【商業こそ政治社会が関与する最高の活動】 チャールズ・テイラー『近代』 メモ#4
礼儀に映し出されているのは、 ヨーロッパ社会が一四〇〇年頃から経験しつつあった移行、 つまり私が先に貴族の飼い馴らしとして評者した事態である。 この新しい (あるいは新たに再生された) 理念には、 それまでに先例のない新しい生活様式が映し出されていた。 たとえば、 薔薇戦争以前のイングランドの貴族・郷紳の生活と比べてみれば、 その違いは歴然としている。 国王に奉仕する戦争のためではないかぎり、 戦闘はもはやこの階級の通常お生活様式の一部ではなくなっていた。 この過程のような事態は四世紀以上も続き、 標準的な文明国は一八〇〇年頃になってはじめて国内平和を恒常的に維持できるようになる。 この頃ようやく戦争に取って代わって商業が広く行き渡り、 商業こそ政治社会が関与する最高の ――あるいは少なくとも戦争と同じくらい卓越した―― 活動となったのである。
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