« 1970年代~90年代の日本サブカル史― 要約『サブカルチャー神話解体』 | トップページ | 現代インドの religion 概念をめぐる言説空間 (仮説) »

2013年4月20日 (土)

ポピュラー・ナショナリズムを支える大情況― テッサ・モーリス=スズキ(2002)より

テッサ・モーリス=スズキ先生の『批判的想像力のために』

東大での非常勤講義の参考書にあげた

その「あとがきに代えて」から引用させていただきます

なお、文庫版もありますが ボクが読んだのはハードカバー版です

スズキ先生は

「ポピュラー・ナショナリズム(大衆受けを狙うナショナリズム)にその選挙区を置くコメンテーターや政治家たちは、大衆の持つ不可視の不安を、明瞭に見ることが可能なものへの置換によって生き残りを試みる」(271頁)

との状況把握について

その「生き残り」戦略を有効にしている「大情況」を次の二点に要約する

====================

 一、いわゆる「グローバリゼーション」の過程が、資本・雇用・思想・宗教・情報・商品等々の越境化を急激に増大させるなか、資本から商品等々に至る越境的フローを容認し制度化するレジュームは、ここ三〇年間で、その基層において変容した。それにもかかわらず、この変容は人間のフローを制度化する部分には、ほとんど触れられていない。すなわち、各国民国家内での移民政策、国籍政策、あるいは国際的な難民条約等々の基層を成す想定や政治力学には、第二次大戦終結以降、ほとんど変化がみられなかった。

 この制度と現実間の矛盾の存在は、時間の経過とともに拡大した。したがって、新しい問題を古い制度によって解決しようとする試みが、不条理で非人道的な結果を生むのだ。

 二、いわゆる「グローバリゼーション」では、社会的経済的構造の変容が起こり、その構造が複合化することにより、全体図が見えにくくなる。その不透明感、そして個の次元で感じる不安の原因を、人々は「外部化」することにより確かな砦を築き上げ、自衛の策を取る場合が多いのではなかろうか。

 また、それに加えて、国民国家内部での、実際の経済諸条件ならびに資本の流出入等は、国民国家の次元での政策のみでは、ほとんど統轄不可能な状態であるという現実が存在する。

 この実際的権力の侵蝕作用に際し、政府は多くの場合、象徴的権力の強迫的補強により埋め合わせを狙おうと企てる。その好例が、一九九九年、日本における「国旗・国歌法」の制定であり、「強制はしない」と閣議決定をしながら、公立学校の入学し、卒業式での君が代斉唱、日の丸掲揚の実質的「強制」だった。一方、これは、オーストラリアにおいては、ジョン・ハワードが興味深くも名付けた国家の「絶対主権 absolute sovereignty」という、水の上に引かれた想像の境界線によって囲われた神聖なる「固有の領域」を条件なしに保持し続けることでもあった。

269-71頁

====================

« 1970年代~90年代の日本サブカル史― 要約『サブカルチャー神話解体』 | トップページ | 現代インドの religion 概念をめぐる言説空間 (仮説) »

01B 宗教政治学」カテゴリの記事

03A 思索」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137899/57212905

この記事へのトラックバック一覧です: ポピュラー・ナショナリズムを支える大情況― テッサ・モーリス=スズキ(2002)より:

« 1970年代~90年代の日本サブカル史― 要約『サブカルチャー神話解体』 | トップページ | 現代インドの religion 概念をめぐる言説空間 (仮説) »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

Twitter


読書メーター

  • mittskoの今読んでる本
  • mittskoの最近読んだ本

鑑賞メーター

  • 最近観たビデオ
    mittskoの最近観たビデオ
2016年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

イーココロ

無料ブログはココログ