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2013年5月 6日 (月)

占領軍、政教分離、天皇制、そして靖国

ある授業で 宗教法人法の成立過程 を学生さんたちと一緒に調べている

今年度(2013年度)は 「神道指令」 にフォーカスしている

これまで、このブログに書いた関連記事としては

の三つを書いてきました

この関連で 以下、 磯前順一先生のご研究から 一節を引用いたします

学生さんが ここにたどり着いてくれるといいなぁ… (`´)

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 そして、アジア・太平洋戦争での敗北後、占領軍であったアメリカ合衆国はそのような日本の諸宗教および天皇制の侵略的・排他的性質を修正し、日本が [ママ] 冷戦体制下の極東戦略を担うのにふさわしい政体へ変えようと試みた。そのような占領期の宗教政策を集中的に研究したものとして、井門富二夫編『占領と日本宗教』(末來社、一九九三年)がある。とりわけ興味深いのが、高橋哲哉『靖国問題』(ちくま新書、二〇〇五年)や赤澤史朗『靖国神社――せめぎあう〈戦没者追悼〉のゆくえ』(岩波書店、二〇〇五年)が示すように、戦後における靖国神社の政治的・社会的地位の変化の軌跡である。

 それは、戦後になって占領軍によって導入された政教分離体制をどのように天皇制に節獄するか、そのもとでの戦没兵士の国家祭祀をいかに実現可能とするかという政府および民間の保守層の願望をめぐる日本社会のせめぎ合いを通して、戦後日本における「宗教」領域の社会的位置を如実に物語るものとなっている。それは戦後天皇制の性質とともに、戦後日本社会における宗教的なもののあり方を考えるさいの大きな手だてとなろう。(21) さらに、靖国論に関しては、そもそも生者による死者祭祀自体が可能なのか否か、その根源的な部分から問題が議論されなければならない時期にきていると思われる。(22)

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(21) 島園進「戦後の国家神道と宗教集団としての神社」(圭室文雄編『日本人の宗教と庶民信仰』吉川弘文館、二〇〇六年)。

(22) 磯前順一「死霊祭祀のポリティクス――慰霊と招魂の靖国」(前掲『喪失とノスタルジア』)

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