「宗教紛争は宗教が原因」 という端的に誤った観念 その2
もうひとつ例があったのでご紹介
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「でも、宗教が必ずしもその人にとって有益とはかぎらないでしょう? この前の事件みたいに、宗教的信念のせいで生命を落とす人もいるし、キリスト教だって昔はひどく弾圧されて、殺された人も多かったんでしょう?」
「まったくその通りです。昔から宗教はしばしば虐殺の原因になってきた。キリスト教徒とイスラム教徒、カトリックとプロテスタントが、何百年も血で血を洗う闘争を続けてきました。今も世界のあちこちで宗教的対立が原因の殺し合いが続いています。アイルランド、ボスニア、スリランカ、ティモール……」
山本弘 『神は沈黙せず』 上巻,角川文庫,220頁
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この部分で明らかなように、「宗教紛争は宗教が原因」という端的に誤った観念は
二つの認識に起因するもんです
- 小集団、もしくは1名以上の個人による「宗教的信念」にもとづく特定の犯罪行為を 数十万~数億の人たちが 何十年にもわたり苦しめられる、大規模な「紛争」と混同すること
- 古代から現代まで、世界各地における各種紛争を 無条件に一範疇におさめてよいと判断すること
これらの点がまさに当てはまるということから
このテキストは実に典型的、 ないしは症例的なんであります
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