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2016年3月10日 (木)

芸術宗教、もしくは世俗化した世界の宗教的感受性

ウルリッヒ・ベック曰く

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 それでも、「自分自身の神」がどこまで信仰の代替物なのかという問いは残る。それはどこまで(Kunstに含まれる「芸術」と「人工」の二つの意味を込めたうえでの)「芸術〔クンスト〕宗教」が提供する偽りの約束に相当するものなのだろうか。芸術宗教は科学宗教の解体の後を継いだものであり、その科学宗教は科学宗教で(きわめて単純化すれば)宗教の解体に対する一つの反応だった。通常、その場合の「芸術」とは、高度に世俗化した社会の疑似宗教的な身振りを訓練するための教練場と考えられている。藝術体験の中で宗教的アウラが語られ、その中で世俗化した世界の宗教的感受性が自己表明を行い、その意義を認められる。そこにはパラドックスの上に立つ宗教的な決断主義が顔をのぞかせている。すなわち、一方で信仰者が「自分自身」の神を創造し、他方ではその神の自己啓示が信仰者の「自分自身」の生に主観的安心と解放を約束する。これは、自己自身を措定する自我をあらゆる超越的かつ内在的な洞察と確実性の源泉とみなしたフィヒテの自我哲学を思いださせるものだ。

135頁: ルビは 〔〕 内に示した


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「藝術の宗教学」 の今日的な問題点を 精確にいいあててると思う

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