カテゴリー「03C 開発と開発学」の記事

2015年11月11日 (水)

映画上映会 『マダム・マロリーと魔法のスパイス』

大学の公式サイトには告知が出てないようですが…

映画上映会やります (。・ω・。)

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インドって、どういう国? 映画で知るインド事情

映画 『マダム・マロリーと魔法のスパイス』 を通して

日時 2015年11月12日(木) 14:30~17:30

場所 日本女子大学 目白キャンパス ランゲージ・ラウンジ

※ 予約不要、無料
※ 非営利 研究教育目的



留学生など学生さんの企画で お声かけいただきました ('ω')

この映画、実は 「アヨーディヤー暴動」 を背景にしておりまして

私の研究テーマそのものなのであります

簡単な背景説明などをしながら、たのしく映画鑑賞したいと思います

学外の方でお越しになりたい方、いらっしゃれば 私にお声かけを!

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<追記 151113>

うえで「アヨーディヤー暴動」云々と書きました

しかし、映画を実際にみたら アヨーディヤーかどうかはわからないな、と気づきました

「ボンベイ」ではなく「ムンバイ」という語を易々ともちいるなど(改名は1995年)

むしろ、「アヨーディヤー暴動」ではないのかな、その後の暴動かな、と

劇場で一回観ただけだったため、勝手な思い込みをしてたようです

インド研究者の端くれとして、お詫びして訂正します

2014年12月 2日 (火)

死、社会貢献、祖霊

NHKによる菅原文太さんの訃報

そのなかに、奥さまの文子さんのコメントがあった

死と社会貢献と祖霊…

あるいは 自然農法と平和と ここでは云われないけれど反原発…

これらがひとつに融合した見事なことば

今後も何度も読みなおしたいので ここに再録させていただきます

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俳優の菅原文太さんが亡くなったことを受け、妻の菅原文子さんは「七年前に膀胱がんを発症して以来、以前の人生とは違う学びの時間を持ち『朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり』の心境で日々を過ごしてきたと察しております。『落花は枝に還らず』と申しますが、小さな種を蒔いて去りました。一つは、先進諸国に比べて格段に生産量の少ない無農薬有機農業を広めること。もう一粒の種は、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げることでした。すでに祖霊の一人となった今も、生者とともにあって、これらを願い続けているだろうと思います。恩義ある方々に、何の別れも告げずに旅立ちましたことを、ここにお詫び申し上げます」とコメントしています。

文子さんのコメントの中にある「朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり」のことばは中国の古典、「論語」に由来するもので、「人として大切な道徳を悟ることができれば、すぐに死んでも後悔はない」という意味です。

また、「落花は枝に還らず」は「ひとたび散った花は再び枝に戻らない」という意味で、「死んだ人は再び生き返らない」ことを例えています。

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2014年11月30日 (日)

路上の神様―祈り

石井光太 『地を這う祈り』 (徳間書店,2010年) よりの引用――

この本で、いちばん好きなページを引用させていただきます

ああいった場所のああいった人たちの本当のすがた…

そういったものが本当にあるのかどうかは知りませんけど

ボク自身が そのようなものだと感得するすがたが

ここには、とってもよく表されているように思いました

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神棚の下で眠る

 インドには、数えられるだけで三億以上の神様がいると言われている。

 貧しい人々は、路上で寝起きしながらも、そうした神を信仰している。町の木や塀に神棚をつくり、思い思いの神様を祀る。食費を節約してでも、線香を用意し、朝晩は祈りを欠かさない。

「今日も一日、お父さんが仕事をして帰ってきますように」

「私が仕事にでている間、妻と娘がトラブルに巻き込まれませんように」

「いつの日か、家を借りて、家族が仲良く暮らせますように」

 そんなことを願うのである。

 ある年の夏、ムンバイでガネーシャという象の頭を持った神の祭りがあった。数日にわたって、町の人々は巨大な象をトラックの荷台に乗せて町を行進する。路上生活者たちも列に加わる。知っている人も、知らない人も握手を交わし、お互いの幸運を祈る。

 祭りの最終日、私は知り合いの路上生活をする親子を町を歩き、夜になって寝場所にもどってきた。すると、壁に掛けてあったガネーシャ神を祀った棚に、甘いお菓子が袋に入ってぶら下がっていた。

 私が「これは?」と尋ねると、父親が答えた。

「町の人が、わしらにくれたんだろ。祭だからな」

 それを聞いた時、この町にはたしかに神様がいるのかもしれない、と思った。

ペーパーバック版184頁; ルビ省略

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この本は フォトエッセイ集でして…

発展途上国の物乞い、貧者たちの あられもない姿がいっぱい収められています

インドで多少なりと慣れているボクでも (あるいは、そんなボクだからこそ)

直視するのがとってもつらくなる写真がおおいです

ぜひぜひ読んでほしいのですが

慣れない方、怖いなって思う方は まずテクストのみの

石井光太 『物乞う仏陀』  からお手にとるのをおすすめします

2010年4月 8日 (木)

インド研究者がインド時評を書くという課題

こんな囀りをした

適宜添削をほどこしたもの 再録します

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今回 6年ぶりに印度に行ってみて思った――

あのクニは変わったようで変わってない

変わってないようで 変わった いや

変わったようで 変わってない いやいや

……以下無限ループ……

我ながら

こうしたいかにもな印度特殊論しか口に出せないのは

地域研究者として いかがなものかと思うのだが…

素直な感想はやっぱりそうなのだ

==========

ここで「印度特殊論」とは

いかなる変化や影響も 受け止めきってしまい(!)

結局は 何か印度的なるものの連続性が保たれる――

そういった印度理解の型のことだ

深いところで印度は変わらない 印度はいつまでも印度だ――

あの土地柄はたしかに特徴的なので

そのような見方も 必ずしも間違っているとばかりは 言えない

しかし、それを強調しすぎれば

単なる特殊主義者の主張に堕する

==========

こうした逡巡は バカバカしいものだ、と思われる向きもあろう

しかし、僕が特殊主義に敏感なのは

ナショナリズム研究をやってきたからなのだ

≪印度的なもの≒ヒンドゥー的なもの≒印度国民国家原理≫

という ナイーブな想定!

保守主義が普遍的な悪だなんて

僕はもちろん これっぽっちも考えていない

とくにヨソサマの社会や政治に変革を促しうる

倫理的に正当な立場性を確立するのが いかに難しいことか――

阿呆な僕でも よく承知している

==========

さてこのように 僕は

印度研究でオマンマを食べさせていただいている身として

印度旅行の感想ひとつを口にするのにも

ノイローゼ的なこだわりと思案をば

織り重ねないわけにはいかないのであります

==========

印度のことに 話を戻そう

印度社会から受ける不易流行の印象 という話だった

どんな地域でも どんなクニでも

おそらく同じことが言えるだろう

変わったといえば変わった、変わらないといえば変わらない――

でも、僕の言いたいのは そんな当たり前のことではないのだ

二段階にわけて 囀ってみたい

==========

第一に、 印度には ホントにピンからキリまで あらゆるものが

素のままで明け透けに ギュッと押し込まれて現前している

恰好つけや 建前や 嘘なんかすらも

実に判りやすく そこにある

だから 変化が生じたとしても、 それが

印度のいつかどこかにあったもののように思われて仕方ないのだ

配置や強度が変わっても やはり常に類似の印象を与える

そう それはまるで万華鏡のようなのだ

==========

第二に、 言うまでもないことだが 印度は変化している

細部の変化のことではない

そんなのは単に当たり前なだけだ

総体的な変化のことが言いたいのだ

例えば 経済構造の変化

(構造は単体的実在ではないので、変化捕捉には理論と方法論が欠かせない)

例えば メディア上の共通経験の変化

(記憶と慣習のレベルの変化なので、捕捉条件は上に同じ)

例えば 社会的威信の源泉の変化

(同上)

印度の変化はどうしても

印象論的、あるいは表層的にしか とらえられない

ということになりがちだ

そしてそうした印象は

印度の 《本質における》 不変化という観念に すぐ通じてしまう

だからこそ社会変動論の常に倣って

理論と方法論をいつも反省しながら

しっかりとした論述をしなくちゃいけない

とても面倒で 一見バカバカしい程に細密すぎる注意の払い方だ

と思われようが、 ただそれだけが

有意味な地域/クニ理解を与えてくれるだろう

そして 地域研究者ってのは そういうことをする人をいうのだろう

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以上のようなことを 囀りました

2010年2月 9日 (火)

【講演会】 国家をまもれるエリートは出現するか

「国際開発学会院生部会」(Jasidg) より

次のお知らせがきました

とても興味ぶかい講演会です

X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X

戦略・情報研究会 2009年度東京第10回講演会
    http://mixi.jp/view_event.pl?id=50080449&comm_id=481052

~ 国家をまもれるエリートは出現するか
-わが国を取り巻く危機と危機意識の実情 ~

日時: 2月13日(土) 18:30~20:45 (開場18:00)

内容: 講師基調講演 ⇒ 質疑応答&全体討論 <会後、講師交えて懇親会>

場所: 文京シビックホール スカイホール(文京シビックセンター26F)
         http://www.b-civichall.com/access/main.html
         東京都文京区春日1-16-21、03-5803-1100
         Ξ 東京メトロ丸ノ内線後楽園駅4bまたは5番出口徒歩3分
         Ξ 東京メトロ南北線後楽園駅5番出口徒歩3分
         Ξ 都営地下鉄三田線/大江戸線春日駅連絡通路徒歩3分
         Ξ JR中央・総武線水道橋駅徒歩8分

講師: 河添 恵子 氏 (ノンフィクション作家、 近著 『エリートの条件』)

参加費: 1000円 (事前申し込みの学生に限り500円☆)

定員: 100名 (定員になり次第申し込み締切)

【講師 プロフィール】
○ 河添 恵子 (かわそえ けいこ) 氏
―― 1963年千葉県生まれ。 名古屋市立女子短期大学卒業後、 1986年より 北京外国語学院、 遼寧師範大学へ留学。
主な著書に 『エリートの条件 -世界の学校・教育最新事情』(学研)、 『台湾新潮流』(双風舎)、 『アジア英語教育最前線』(三修社)、 『世界がわかる子ども図鑑』(学研)、 『中国人とは愛を語れない!』(並木書房)など。 訳書に 『中国マフィア伝』(イースト・プレス) など。 取材は30ヵ国以上。 産経新聞社【40×40】や『正論』『W〓LL』など。 言論界でも執筆中。

お申込/お問合せ先: 久野 潤 kunojun@amethyst.broba.cc
[当日] 090-2933-8598、kunojun@ezweb.ne.jp <「@」は小文字で>
<御名前・御通勤/御通学先を明記のうえ事前お申込頂きますと 当日の御記帳無しで入場頂けますので御協力頂ければ幸いです>

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大阪国際大学現代社会学部 講師
久野 潤(くの じゅん)
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続きを読む "【講演会】 国家をまもれるエリートは出現するか" »

2010年2月 8日 (月)

信仰と開発、 あるいは経済と宗教

mittsko うちのバス停の脇には馬頭観音の碑がある  完全な墓石仕様なのは、 地主が代々の家畜を祀ったものだから  地主はこの場所だけは決して売らない  おかげでバス通りは狭いままだが  林が残った

自分のつぶやき から再録

Photo_2

この一隅を手放さないと言い張っていた先代の地主は

数年前に 他界した

跡目をついだ息子は、 相続税対策もあるんだろう

最近ずっと 空き地や畑だったところを 住宅デベに売っている

今月に入って いくつかの区画で工事がはじまった

馬頭観音の霊力は 経済力学に勝てるだろうか

信心は 生活のなかで どう編成されなおすだろうか

家畜と縁のない世代の 世界観はどこへ向かうのだろうか

2010年1月24日 (日)

3D映画 『アバター』 の評価は

ココログニュース へのリンクです ↑

何かと話題の 『アバター』 ですね

まぁ 大ヒットですから、 そりゃそうです

Photo_6

熊田一雄先生 のブログでは

と題するエントリがあがっていて

Mail Medeia No.564 Saturday Edition 上の

冷泉彰彦さん の 『from911/USAレポート』 から

部分的な引用紹介がなされています

なるほどなぁ・・・ と思わされる記事でした

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僕の感想は いたってフツーです

Photo_7

世界観やストーリーは ごくありきたりだったなぁ、 と

ああいうお話を ジェームズ・キャメロン (監督&脚本)

一体、 どういうつもりで作り上げるのか・・・

どういう観客を想定してたら あれしきのお話を

あんだけ心底、 腹の底から 生真面目に作れるのか・・・

子ども相手だとしたら ちょっと了見が違うだろうし・・・

(子どもは 子供だましが大っきらいですから)

そこがまず戸惑いました

しかし、 二つ 言いたいことがあります

(1)

映像は やっぱりすごい

3Dメガネが 顔デカの僕にははまらない、 とか

眼が疲れないことは やっぱりない、 とか

いろいろ言いたいこともありますが、 やっぱり

すごい映像革命だ、 と認めないわけにはいきません

  • 『バットマン』 (ティム・バートン, 1989年)
  • 『ターミネーター2』 (ジェームズ・キャメロン, 1991年)
  • 『ジュラシック・パーク』 (スティーヴン・スピルバーグ, 1993年)
  • 『ロード・オブ・ザ・リング』 (ピーター・ジャクソン, 2001年)

などなど CGの凄さに打たれてきた映画リストはありますが

『アバター』 は間違いなく その殿堂入りでしょう

ここまでやりきるキャメロンは やっぱり異能の人です!

このリストに 二度名前が出るというのは 覚えておきたいところ!

(2)

アホみたいに単純化されているのだが、 それでもやはり

『アバター』 がとり上げるテーマは 重く、 的を射ている

『もののけ姫』 をリスペクトして作った映画、 という話を

側聞するが (未確認情報!)

まぁ、 たしかに そのようなものとしてみることができる

ただし、 宮崎駿監督 の狂気を すっかり取っ払ったものだが

近代化/開発/文明化/資本化・・・

帝国主義/植民地支配/人種差別/改宗・・・

そして自然破壊/環境問題・・・

西洋近代の自画像を アホみたいな単純さで描けば

ああいうことになるわけですね

もちろん これは、 単なる冷笑ではなく、 むしろ

あまりの素朴さと率直さに 吃驚させられたのです

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さて、 このエントリを書いたのは

何も 上のような書きなぐりの映画評がしたかったからではない

上の (2) のポイントを

  • 『狩人と犬、 最後の旅』 (ニコラス・ヴァニエ, 2004年)

との比較で 論じてみたかったのだ

<つづく>

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【メモ】

後便 「アバター 現実世界に返りたくない」

ご覧ください (100131追記)

2009年12月 4日 (金)

貧困の世俗化

2009年11月29日付 朝日新聞 朝刊に

  • スティーヴン・M・ボードイン 『貧困の救いかた: 貧しさと救済をめぐる世界史』 (伊藤茂訳, 青土社, 2009年9月)

の書評が載った。 評者は 広井良典先生

ネット上でも読めるので、 下にコピペしておきます

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僕がこの書評で注目したのは

  • 以前の世界では、 貧困は各地域におけるローカルな原因 (自然災害や戦争、分配システムなど) によって生じるとともに、 様々な宗教が貧困の理解や対応において主要な役割を担っていた
  • このこととパラレルに貧困観と貧困救済の 「世俗化」 が生じ、 国家の役割が大きくなっていく
  • 近代以前の時代にキリスト教、 仏教、 イスラームといった諸宗教が貧困にどう対してきたかといった視点や議論は、 福祉の思想や原理が問われるこれからの時代において新たな意味をもつのではないか

などの指摘である

つまりは 《貧困なるものの》 の世俗化!

これぞまさに 堂々たる 「世俗の宗教学」 のテーマ!

ぜひ読んでみたい本です

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http://book.asahi.com/review/TKY200912010182.html

貧困の救いかた ― 貧しさと救済をめぐる世界史 [著] スティーヴン・M・ボードイン

[掲載] 2009年11月29日
[評者] 広井良典 (千葉大学教授・公共政策)

続きを読む "貧困の世俗化" »

2009年11月25日 (水)

創られた「東京裁判」

<読む本>

  • 竹内修司 『創られた 「東京裁判」』 (新潮社, 2009年8月)

たとえば 印パ分離独立の政治過程について

独立インド憲法の立案過程について

第1次印パ戦争の発生と終息について

僕は こういう研究をしなくちゃいけないはずだ

けど… これは大変なんだよなぁ、 実際やるのは

時間をかけて ジックリやらねば

2009年11月 8日 (日)

【報告】 現代宗教と対話の精神

こちらのエントリでお知らせしてあったシンポジウム

無事 開催されました

ご登壇、 ご参加の皆さま、 ならびに事務局の皆さま>

ありがとうございました。 お疲れ様でした

私のコメントを 公開させていただきます

ご笑覧くださいませ

Prsc__

漠然とした枠組みだけ あらかじめ作っておいて

シンポの壇上で アドリブで バチャバチャと仕上げました

其の節では 事務局に ご負担をかけました。 すいませんでした。 適切にして迅速なご対処、 ありがとうございました

読み返せば 不十分なことばかりですが

“ライブ感” を楽しんでいただければ、 と思います (笑)

パワポ(.ppt)ファイルですので 箇条書きばかり

口頭で説明したところが多いので、 これだけをご覧になると

つながりが分からないところが目立つでしょう。 が

これも アドリブ/ライブの妙味なんだろうと ご理解くださいませ

====================

当日 「国際宗教研究所賞」 の授賞式もありました

この賞には 個人的な思い入れがありますので

別エントリにて あらためてご紹介させていただきます

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